最近私は2冊の新刊本を出した。『死にゆく者の礼儀』と『気難しい女性との上手な接し方』というエッセイだ。前者は老いと死を直視する生き方を提言したもので、後者はこの日経ビジネスオンラインのエッセイをヒントに、職場での管理職の悩み解決を願って書き下ろしたものだ。 私が趣味で続けているクラッシックバレエスタジオでのこと。 「近々本を出します」 「あらそう」 という先生と私との会話の直後からそれは始まった。 「遙さんが本を出します。買う人!」という掛声がレッスンの始まる度にスタジオに飛んだ。それは発売日まで毎週続いた。 「はーい」と手をあげながら皆で笑い合う光景に、愉快な会話以上のものを私は感じなかった。 ところが、実際発売されると、小学生から年配までの生徒たちがこぞって本を購入してくれ、私にサインを求めてくれた。 私の本が読みたくて購入した人はごく少数のはずだ。なんせテーマは「老い」と「職場」だ。