「安保法制」に対する闘いが新しい局面に入ったので、これまでの政治闘争の中間総括をしてみたい。もちろん極めてテンタティヴなものであらざるを得ない。 我が国の政治で、もっとも脆弱な理念は自由(主義)の精神ではなかろうか? 我が国の近代化は、広い意味で開発独裁と言えるような方向で進められてきた。戦後は、進駐軍と自民党一党独裁のもとで、この傾向はかえって強まった。 進駐軍の政策の中で、もっとも成功したものは農地改革であろう。それによって、我が国は明治以来抱えてきた近代化阻害要素を払拭できたのである。農村部における前近代的社会関係がいかにその国の近代化を阻止するか、またその克服がいかに困難かを理解することが、我が国の近代史を理解するための補助線として極めて重要である。またその思想史を理解するためにも不可欠である。 いはゆる講座派から柳田国男に至るまで、農村部における近代化の問題に頭を悩ませていたので