民主主義の壊れ方 クーデタ・大惨事・テクノロジー 著者:デイヴィッド・ランシマン 出版社:白水社 ジャンル:社会思想・政治思想 民主主義の壊れ方 クーデタ・大惨事・テクノロジー [著]デイヴィッド・ランシマン 本書は現代民主主義の置かれた苦境についての著作だが、興味深いことに頻出するのは「中年危機」という言葉である。 いろいろ問題があることはわかっている。とはいえ、その多くは構造的で、今すぐはどうにもならない。かといって、若き日に戻ることもできない。結果がどうであれ、活力に任せて挑戦する時期は過ぎたのだ。しかし、死を思うにはいささか早く、これからも生きていかねばならない。 民主主義も同様だ、というのが本書の見立てである。あまり元気が出る結論ではないが、英国ケンブリッジ大学を代表する政治学者による本書は、民主主義の制度疲労や脆さ、そして人々の怒りの分析において冴えを見せる。 現代のクーデター