本研究では、東京都区部所在の大学及び専門学校等が、終戦直後にどのような旧軍施設に対して使用希望を出していたのかと、使用希望が実現したケースの実態を考察した。そして、旧軍施設の使用希望は、罹災した学校が8割を占めたこと、校地から離れた旧軍施設の希望も多く寄せられていたこと、旧軍の学校、兵営、研究所に対する希望が多かったこと、使用希望は15%しか実現していなかったこと、使用希望実現の背景には旧陸軍将校とのコネクションや不法占拠という実態があったこと、使用希望が取りまとめられた10月頃までにその多くが実現していること、旧軍施設の恒久使用は校地の大幅な拡大を伴い、将来的な発展に寄与したことが明らかになった。