宮越俊光(日本カトリック典礼委員会委員) 「教皇の頭にズケットを載せたら、それが拝領の歌を終わりにする合図だから」。昨年11月25日の東京ドームでのミサが始まる前、ステージ上でミサの進行係を務める私に、教皇儀典室の儀典長グイド・マリーニ師からこのような指示があった。 教皇儀典室はローマ教皇庁の組織の一つで、教皇がバチカンのみならず世界各地で司式する典礼全般を取り仕切る役割を担っている。この儀典室に所属する10数名の儀典係の長として、教皇司式の典礼に関する最終決定を下すのが儀典長の務めである。昨年の教皇ミサは、準備段階から実際のミサの細部に至るまですべて教皇儀典室と日本側の典礼チームとの共同作業で執り行われた。日本で行われるミサであれば日本側主導で準備するもの、と思われるかもしれないが、教皇が司式する典礼は海外であってもバチカンの公式行事にあたるため、教皇儀典室が全体を管轄するのである。 ミ