東京大学物性研究所は研究成果のプレスリリースについて、研究室に対する課金制を導入することで、広報部門の負担軽減と新聞における記事化率の向上に成功した。研究者の業績となるリリース作成と発表が目的化している点は、大学や研究機関で共通の課題だ。物性研では記事化率が31%まで落ちていたが、研究者自身が絞り込むことで75%に高まった。ウェブサイトや会員制交流サイト(SNS)などとの使い分けが、ポイントになりそうだ。 東大物性研では、約40の研究室から年平均10報の論文が出ている。この内容を基にしたリリースを出したいとの研究室からの希望に対し、2020年12月から試験的に1件数万円を課金した。「リリースは論文のうち優れたものに限り、他はウェブサイト掲載にとどめる」といった判断を、研究者ら自らに委ねた。 これによりリリース数は、2020年度の31本から21年度の18本に大きく減った。このうち広報がリリー