概要 研究の目的 労働政策研究・研修機構が2022年に実施した「暮らしと意識に関するNHK・JILPT共同調査」では、「親より経済的に豊かになれると思うか」という問いを尋ねており、豊かに「なれると思う」という回答が18.6%であったのに対して、豊かに「なれないと思う」という回答が36.2%と、約2倍となっている。近年、日本において、自分より上の世代に比べて、自分の生活が豊かになる未来を感じられなくなっていることが分かる。そこで、本稿では、「国民生活基礎調査」の個票データを用いた分析をすることにより、生まれた世代によって、所得や家計支出、資産などに差があるのかという日本の出生コホート間の経済格差を明らかにすることを目的とする。 研究の方法 「国民生活基礎調査」(1986~2019年)の個票データを用いて、日本の出生コホート間の経済格差について二次分析を行っている。最初に、経済格差に関連する様