ブックマーク / www.whitepapers.blog (19)

  • 死闘の果てのライオンの夢#名作 #ヘミングウェイ #人間の尊厳 - ことばを食する

    世に中にはおびただしいがあって、どんな小説が好きかは人によって異なります。わたしが「この作品は素晴らしい」と思っても、ついさっきショッピングモールですれ違ったたくさんの人たちは、みんな自分だけのお気に入りを持っています。 若い女性ならハッピーエンドの恋愛ものとか、4人くらい殺されるミステリーに限るとか。いや、そもそも小説なんて読まない人の方が圧倒的に多いかな。 「名作」とはいったい何なのか。「これはいい」と思った人の数が多くても、ベストセラーは、イコール名作ではない。では偉い文学者や批評家が名作だと判断したら、そうなるのか。なんか違うよなあ。さてさて... ..と、こんな1ミリも世の中の役に立たないことを考え始めたのは、「老人と海」(アーネスト・ヘミングウェイ)を読み終わり、この作品について書こうとしたつい先ほどでした。書き出しを迷っているうち、頭の中の思考が見当違いの方向へ逃避行したの

    死闘の果てのライオンの夢#名作 #ヘミングウェイ #人間の尊厳 - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2023/10/07
    老人と海、未読ですが読んでみたくなりました
  • 50歳の恋愛模様...大人の心を揺さぶる名作小説 #平場の月 - ことばを食する

    50歳。半世紀も生きてきたのだから、波乱や悲しみ、喜びの経験はいくつも胸にしまってある。だれだってそうだろう。もう、冒険を試みるような年齢ではない。日々の小さな感情の起伏をつなげて年月が過ぎ、やがてそう遠くないいつか、老いた自分を静かに見つめる日がやってくるのだろう...。 「平場の月」(朝倉かすみ、光文社)は、そんな大人たちの悲しい恋愛小説です。 生まれた町で暮らす中学時代の同級生たち。地元を出ることなく働き、結婚した元女子がいれば、東京から戻ってきた<おひとり様>元女子に、主人公はバツ1の元男子など、そんな50歳の同級生の顔ぶれはどこにでもありそう。 恋の発端は、お昼時の病院の売店。胃の内視鏡検査で引っかかったバツ1の元男子が、<おひとり様>元女子と再会します。 顔を上げたレジ係の女性と目が合った。左の泣きぼくろ。小柄で、華奢で、短めのおかっぱの横の毛を耳にかけて。 「あれ? 須藤?」

    50歳の恋愛模様...大人の心を揺さぶる名作小説 #平場の月 - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2023/04/02
    少し気になっていた作品ですが、くーさんの感想を読んで読みたくなりました!!
  • カツ卵とじ定食 〜食の記憶・file1 - ことばを食する

    1976年4月、わたしは早稲田大学教育学部英語英文学科に入学し、東京都大田区南馬込1丁目にある、老人夫婦宅の離れ6畳1Kに暮らし始めました。2023年の今から、遡ること47年前のことです。 下宿代は月15,000円。プラス電気、ガス代。仕送りは6万円なので、差し引き1週間1万円が生活のベースでした。夏休み、春休みは土木作業員(連日もろに肉体労働の土方、です。後に中上健次さんや西村賢太さんの小説に親近感を抱いたのはこの体験のせい)で稼いでも、みるみると飲み代にお金が消えて、少々のバイトでは追いつきません。 部屋にはテレビも冷蔵庫も、もちろん電話のような贅沢品はなく、しかし電気釜だけは生協で買いました。いざとなればを売り、飯にマヨネーズとソースをかけて洋風、卵と醤油なら和風でいつなげると思っていたからです。 下宿から一番近い古屋さんまで、歩いて30分ほどかかりました。実際にを詰めた重

    カツ卵とじ定食 〜食の記憶・file1 - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2023/02/13
    大学時代のお話、なんか良い話ですね~。カツ卵とじ定食にはガッカリでしたね。
  • 正月に、飲んで包丁を研ぐ - ことばを食する

    面白い小説は、例外なく脇役が魅力的です。悪者であれ善人であれ、主役を生かすのは脇役ですから、彼らがくっきり描かれているほど、その対比で主役が際立ちます。 題名を忘れてしまったのですが、北方謙三さんの時代小説にちょい役で出てくる研師がいます。 偏屈な老人で、気が向かない仕事は一切受けない貧乏暮らし。しかし、研師としての感性がざわめく刀に出会うと、人が変わります。 三日三晩、い物は塩握りと水だけで刀を研ぎ続けます。何人もの血を吸った刃の曇りを、ひたすら研ぐことで清めようとするのです。これ以上人を斬って曇るな、と。 ところが、刃先を清め、鋭利な輝きを与えるほど、そこに新しい血を求める妖しい気配が宿ってしまう。... あけましておめでとうございます。 正月2日、夕方から台所で立ち飲みしながら、包丁を研ぎました。酔っ払っても集中力を求められる微妙な作業ですが、集中力の方が勝っていて、しかしちびちび

    正月に、飲んで包丁を研ぐ - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2023/01/02
    くーさん、今年もよろしくお願いします♪飲みながら、包丁を研ぐって指とか切らなかったでしょうか?(^_^;)
  • くーの文章講座? いや酔ったついでの戯言 - ことばを食する

    このブログをよく訪ねてもらうともこ (id:jlk415)さんから前回、こんなコメントを頂きました。 「美しい」「感動した」などの言葉を使わずにどう表したらいいものか、考えがなかなか浮かばない。 その思い、よく分かります。わたしがいつも気にかけていることと同じだから。このポイントをどう処理するかによって、文章の広がりは全く別物になります。 分かりやすい例文を考えてみます。さて。...例えば印象派展を開催中の美術館を訪ねて体験を書いたと仮定します。 モネの傑作「睡蓮」の美しさに見とれました。わたしの心に深い感動が広がりました。 「美しさ」「感動」と、ストレートに言葉を使ってあります。素直ですが、絵画のイメージや臨場感が乏しい気がします。別のスタイルで表現すると モネの「睡蓮」の前で足が止まりました。キャンバスから溢れ出る光の囁きに、わたしは時間を忘れました。 こちらは「美しい」と「感動」は封

    くーの文章講座? いや酔ったついでの戯言 - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2022/09/20
    なるほど!!とても参考になりました。メディアの変化によって適切な言葉や表現も変化するのですね。
  • 美味しいと、言う必要のないご飯が美味しい 〜「おいしいごはんが食べられますように」高瀬隼子 - ことばを食する

    近年、芥川賞受賞作と聞くと無意識のうちに身構える部分があります。というのも、普通の生活感覚からズレた(いい意味で)斬新な作風が多いから。文学に限らず、芸術は過去にない新しい領域を世界に付け加えようと作者が格闘するものですから、純文学を標榜する芥川賞がどちらかというとシュールで、熱量のある作品を選ぶのは理解できます。 そうした作品は一部の強い共感を得るけれど、多くの人にとっては、不気味な騒音にしか聴こえない現代音楽(クラシック)のような、難解で重い小説でもあります。受賞者が若い女性といった話題性が先行すれば、ある程度売れはするけれど。 さて、最新の芥川賞受賞作「おいしいごはんがべられますように」(高瀬隼子=じゅんこ=、文藝春秋9月特別号、単行は講談社)です。 ああ、これはだれでもすらすら読めて、面白いとか嫌いだとか、フツーの人が普通にランチしながら盛り上がれる作品です。密かに心の中に持っ

    美味しいと、言う必要のないご飯が美味しい 〜「おいしいごはんが食べられますように」高瀬隼子 - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2022/09/09
    高瀬さん、同郷の愛媛県出身で注目している作家さんです。芥川賞の作品はやっぱり気になります。
  • 苦しみは天から降る光のせい 〜「くるまの娘」宇佐見りん - ことばを食する

    話題作「推し、燃ゆ」で芥川賞を取った宇佐見りんさん。受賞後の第一作が「くるまの娘」(河出書房新社)です。 書店に平積みされ、帯にある出版社の<推し>がすごい。まず「慟哭必至の最高傑作」と目に飛び込んでくる。山田詠美さん、中村文則さんの推薦文も「熱をおびた言葉の重なりから人間の悲哀がにじみ出る」などベタ褒めです。 この手の推薦文は狭い業界内のムラ社会の、しかも好意的な同業者による評価ですから、一般読者はあまり真に受けない方がいいかな。当然のことながら、大切なのは書き手側ではなく、受け手側(読者)の評価です。 こう書き出すと、「くるまの娘」を否定的にとらえていると思われそうですが、その意図はありません。宇佐美さんの個性がくっきり立ち上がった、いい作品だと思います。「推し、燃ゆ」がピッチャー返しのクリーンヒットだったとすれば、「くるまの娘」は方向を変えてレフト前に抜いていったシングルヒットです。

    苦しみは天から降る光のせい 〜「くるまの娘」宇佐見りん - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2022/09/04
    気になっている作品です。近々読んでみたいと思います。
  • 朝がきて、働いて、コップ酒で1日が終わる 〜「苦役列車」西村賢太 - ことばを食する

    ではなくて肉。若い男の体臭が、むんむん臭ってくる小説です。ただしライオンのような猛々しさ、かっこよさは微塵もありません。 汗、酒、煙草、そして浅ましさや愚かさ。冷酷になれないから、犯罪者にもなれない平凡さ。しょせん俺とうい人間はこうなのだー。と、開き直るように言葉を叩きつけ、そこから一人の人間の存在感が立ち上がってきます。 「苦役列車」(西村賢太、新潮社)は、コンテンツ・マーケティングを考えたら、最悪の部類でしょう。どう転んでも女性に好まれそうもないし、心温まる感動を求める多くの読者にとっても、う〜ん、ばつ「×」。 しかし「俺はこれが書きたかったし、これしか書けない」と言う熱量がすごい。作品を破綻させない、作家としての基礎体力も確固としてあります。 単行の帯から引用すると「友もなく、女もなく、一杯のコップ酒を心の慰めに、その日暮らしの湾港労働で生計を立てている十九歳の貫多。(中略)

    朝がきて、働いて、コップ酒で1日が終わる 〜「苦役列車」西村賢太 - ことばを食する
  • 追悼 西村賢太 - ことばを食する

    小説作家、西村賢太さんが亡くなりました。私は決して、西村さんの熱心な読者ではなかったので、タイトルに<追悼>と冠するのはおこがましいのですが、以前から現代の文学シーンにおいて特異な存在感を発する作家だという実感があり、突然の死は驚きでした。 記事は、タクシー乗車中に体調不良を訴えて意識を失い、病院で亡くなったと伝えています。 54歳。 突然の死。心のどこかで、西村さんらしいと思ってしまいました。寿命を全うし、多くの人に看取られ、惜しまれながらというのは似合わない。少なくとも「私小説作家、西村賢太」は、そういう存在ではありませんでした。 私小説という、半ば時代遅れの形式。西村さんは「私小説にこだわった」わけではなく、「私小説しかなかった」のだと思います。生々しく、愚かで、美しさのかけらもない自分を吐き出すことで、自己を相対化してくれる唯一の手段が私小説でした。 だからこそ、口当たりのいい小

    追悼 西村賢太 - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2022/02/12
    西村賢太さんの訃報には驚きました。ご冥福をお祈りしています。
  • <僕>と<世界>の息詰まる関係 〜「掏摸」中村文則 - ことばを食する

    見ているけど見えていない、聞こえているけれど、聴いていない。つまり、いつの間にか「ぼー」と放心しているとき、突然肩をたたかれたら、ぎくりと条件反射します。 普段は周囲に張り巡らせている五感のセンサーが麻痺していて、いきなり何かに自分が鷲掴みにされたような感じ。だれでも経験がある、些細な出来事です。だから変にムズカシク考えるのも野暮、....は承知なのですが。 肩をたたかれた瞬間に、裸の<私>が剥き出しになります。そして<私>以外の全ての存在は、外部の<異物>であるという、世界との根の関係性が露わになるのです。 五感がフルに働いているときであれば、<私>の外にある全て、モノであれ人であれ、<異物>は常に私に緊張を強い、対処を求めてきます。そんな、重くて張り詰めた空気に、支配された小説が「掏摸(スリ)」(中村文則、中央公論社)です。いや、理屈っぽくて申し訳ない...^^;。 そもそも、中村さ

    <僕>と<世界>の息詰まる関係 〜「掏摸」中村文則 - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2021/06/09
    大変ミーハーでありますが、中村文則さんと宴席を共にしたなんて羨ましいです♪
  • わたしの人生は誤りだったのか 〜「浮世の画家」カズオ・イシグロ - ことばを食する

    敗戦によって根底から社会の価値観が覆った1948年ー50年の日を舞台に、ある画家の心の揺らぎを、一人称の<わたし>の世界として描いたのが「浮世の画家」(カズオ・イシグロ、飛田茂雄=訳、ハヤカワepi文庫)です。 戦時中に至るまでの<わたし>は著名な画家であり、戦争に向けて国民を鼓舞する作品を発表していました。激動の時代に芸術家として生きる<わたし>の、信念に基づいた姿勢でした。 しかし、敗戦によって日には米国流の価値観と民主主義が持ち込まれ、<わたし>への世間の視線は一変します。画家としては引退同然になり、娘の縁談が進まないことを気に病み、自らの人生を振り返るのです。 以上は小説の骨格ですが、作品としての魅力は<わたし>の意識の流れに任せた、骨格への<肉付け>にあります。全編が回想による語りで、意識はしばしば違うところへ流れ、また戻ってきます。 そして<わたし>の主観にとって事実である

    わたしの人生は誤りだったのか 〜「浮世の画家」カズオ・イシグロ - ことばを食する
  • クール・ジャパンの私的再発見 〜「陰翳礼讃」谷崎潤一郎 - ことばを食する

    随筆という文学ジャンルの起源は、清少納言の「枕草子」だそうです。国語辞典によれば「自己の見聞・体験・感想などを、筆に任せて自由な形式で書いた文章」となります。 随想、エッセーとも言い、呼び名にこだわることに意味はない気もしますが、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」(いんえいらいさん・中公文庫)は、あえて<随想>と呼びたくなります。<随筆>ではどこか味気なく、<エッセイ>は軽い。 「陰影礼讃」は、極めて美しい随想です。 昭和8(1933)年発表ですから、90年近い昔に書かれた文章で、社会もすっかり変わっています。でもそこに綴られた日人の美への思いは少しも古びていません。 日建築における座敷、化粧や女性の美しさと色気、歌舞伎や能を俎上に、光と影を通した日人論が語られます。今となってはその視点に特段の目新しさはない気もします。しかし光と影について、今なおこれ以上の文章はないと思うのです。 わたしがこ

    クール・ジャパンの私的再発見 〜「陰翳礼讃」谷崎潤一郎 - ことばを食する
  • パンデミック 希望と絶望とは 〜「首都感染」高嶋哲夫 - ことばを食する

    中国で出現した新型インフルエンザウイルスが、パンデミックに至って世界中に感染が拡大。日はどのようにして、何に生き残りをかけるのかー。「首都感染」(高嶋哲夫、講談社文庫)は2010年に発表された、新型コロナを予言したかのようなクライシス=危機=ノベルです。 北京で開催中のサッカーワールドカップ。世界中から熱狂的サポーターが集まっています。同じころ、中国南西部の雲南省で、極めて致死率が高い新型インフルエンザが発生し、村が次々と全滅。しかしワールドカップを成功させたい中国はウイルスの情報隠蔽と封じ込めを図りますが、破綻します。 ここまでがほぼプロローグで、小説の書き出しからぞくぞくさせる設定ですね。やがてサポーターや選手たちがそれぞれ帰国したときどうなるかは、言うまでもないでしょう。日の検疫も破られ、ウイルスが進入します。 新型コロナとの闘いのさなかという現実があるだけに、ストーリーの展開

    パンデミック 希望と絶望とは 〜「首都感染」高嶋哲夫 - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2020/07/25
    現在のコロナ禍の状況にオーバーラップするような小説ですね。読んでみたいです。
  • <スマホ>というツール そして手 - ことばを食する

    この1週間、(「逃亡者」中村文則)のページをめくるより、はるかに多くの時間、鉛筆を持ってスケッチブックを開いていました。「逃亡者」については、とても面白いので読了後に書きます。さすが中村さん、という感じで読み進めています。 デッサンは、<スマホ>についてとりとめなく思いをめぐらしながら描いていました。<手>を描くのが最初のテーマだったのですが、スマホを操作する手を描き込むにつれ、現代において手の持つ表情とスマホは切っても切れない関係に見えてきたのです。 <メッセージ> 鉛筆、4B〜4H 例えば人と人の出会いと別れに、スマホはなくてはならないツールです。さまざまな個人のドラマと喜怒哀楽の<通路>なんですね。 この指先はこれから、どんなメッセージを打ち込むのか。「会いたい」「ありがとう」「ごめんなさい」。もしかすると永遠の、「さようなら」かもしれない...。鉛筆を使いながら、なんだか短編小説

    <スマホ>というツール そして手 - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2020/05/17
    絵、とてもお上手です!!
  • 深すぎる断絶 そして再生の物語 〜「流浪の月」凪良ゆう - ことばを食する

    読み終えて浮かんだのが「ずっしり残る、不思議な作品」という、何を伝えたいのか自分でもよく分からない言葉でした。「流浪の月」(凪良ゆう、東京創元社)は2020年の屋大賞受賞作。屋大賞は読者の期待をほぼ裏切らないので、実は芥川賞や直木賞より楽しみにしていて、今年も<当たり>でした。 ページをめくると、心の動きや状況描写が丁寧かつ的確なので(センスいいなあ!)、<読む>という行い自体を楽しめました。ストーリーはときどきハラハラもさせてくれますが、基的には落ち着いた作品です。では、いったい何が<ずっしり>で<不思議>だったのかー。 9歳の更紗(さらさ)は叔母の家に引き取られ、息を詰め、ある不幸に耐え、自分の思いを殺しながら日々を送っています。雨の公園で、更紗は「ロリコン大学生」に付いていき、彼の部屋に暮らして苦しみから解放される2カ月を過ごします。 大学生が逮捕されて更紗が保護されたとき、マ

    深すぎる断絶 そして再生の物語 〜「流浪の月」凪良ゆう - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2020/05/10
    気になっていましたが、そういう作品だったのですね!!まさか、BLも書いていたとは驚きです。。
  • 手首から外し、川に投げ捨てたものは 〜「午前三時のルースター」垣根涼介 - ことばを食する

    最初に読んだ「光秀の定理」が面白かったので、次も読むとすれば定評のある作品の前に、まずはデビュー作。「午前三時のルースター」(垣根涼介、文春文庫)は、読者を引っ張るストーリーのテンポと結末に、小説家としての大きな資質を感じました。シンプルに言えば、読ませます! サントリーミステリー大賞と読者賞のダブル受賞作。デビュー作らしい荒さはありますが、車へのこだわりなどわたし好みの記述もあってグッド(ここは極私的感想)です。 ベトナムで失踪した父を探す少年の成長物語。黒幕が見えないサイゴンの裏社会からの妨害にあいながら、2人の日人と現地のタクシー運転手、娼婦が、少年を助けて共に捜索に加わります。 小説を読みなれた人なら、途中からある程度は結末が推測できてしまうかもしれませんが、しっかり読ませてくれるので、たとえ予想通りでもがっかり感はありません。 ちなみに、タイトルにある「ルースター」とは夜明けを

    手首から外し、川に投げ捨てたものは 〜「午前三時のルースター」垣根涼介 - ことばを食する
  • 一期は夢よ ただ狂へ 〜「光秀の定理」垣根涼介 - ことばを食する

    「光秀の定理」(垣根涼介、角川文庫)を読みながら、ひさびさに小説というものを満喫しました。個性豊かな人物たちの造形と展開は見事で、しばしば味わい深い。わたしは垣根さんは初読でしたが、最後のページを閉じて思わず「これは、これは...」と、心の中で賛辞を贈っていました。面白い!。 京の辻にむしろを広げ、通行人相手の博打で銭を稼ぐ坊主・愚息。剣客として名を挙げようと京にのぼりながら、辻斬りまがいの強盗に落ちぶれた兵法者・新九郎。この二人に、没落して浪人同然になった明智光秀が絡み、足利義輝惨殺、信長の台頭と光秀の出世、そして秀吉の治世まで物語は進みます。 愚息と新九郎は架空の人物と思われます。個性的な二人を軸に対比させることで、光秀の人間像がよりすっきり浮かび上がります。各場面、細部の筆運びや事象の掘り下げが読ませるので飽きないし、彼らを通じて随所に出てくる歴史観や人間観はなかなか味があります。

    一期は夢よ ただ狂へ 〜「光秀の定理」垣根涼介 - ことばを食する
  • 本能寺 張り巡らされた謀殺計画 〜「信長の革命と光秀の正義」安部龍太郎 - ことばを食する

    2020年のNHK大河は明智光秀が主人公ということで、書店にも光秀関連を集めたコーナーができています。信長が光秀に討たれた能寺の変は、日歴史を大きく変えた事件でした。なぜ光秀は主君・信長を急襲したのか。現代に至るまでいろいろ言われてきた大きな謎です。 「信長の革命と光秀の正義」(安部龍太郎、幻冬舎新書)は、作家として様々に信長を描いてきた安部さんが、時代背景や周辺史料を読み込んで謀反の真相に迫った論考。小説家の文章は、いかに分かりやすく伝えるかという読者目線が貫かれて、全体構成への目配りもしっかりしているので、歴史学者の論考よりよほど面白いですね。 第一章「光秀単独犯行はありえない」から、いきなり謎の質に切り込んで行きます。危機感を持った朝廷との対立、足利幕府の存在。こうした構図の中で暗躍した一人の天才肌の公家に光を当て、能寺の変が起きた必然が説かれます。 第二章以降は、光秀、

    本能寺 張り巡らされた謀殺計画 〜「信長の革命と光秀の正義」安部龍太郎 - ことばを食する
  • 人はむかし 交尾して子を産んだ 〜「消滅世界」村田沙耶香 - ことばを食する

    才能ある作家が、束縛なく想像力を解き放った作品だと思いました。「消滅世界」(村田沙耶香、河出書房新社)は、作家仲間から「クレイジー沙耶香」と呼ばれる村田さんの世界そのもの。誰にも似ていないし、真似もできません。ページをめくれば、読者を引き込む力も備えています。ただし素朴に作品を楽しめるかというと、なかなか一筋縄ではいかないかな。 舞台は未来。全ての子供は人工授精で生まれ、男と女が子供をつくろうと「交尾」することはありません。交尾は昔の古い習慣であり、夫がに欲情したりすれば、とんでもない暴挙であり、結婚という家族関係を解消する立派な理由になります。 もちろん、人間が恋や性愛への欲望を消し去ることはできません。その生物としての能の一部をどんなふうに解消し、クリーンにするかは作品でお読みください。 の帯に「日の未来を予言する衝撃作」と、赤に白抜き文字で強調してありますが、これは微妙にピン

    人はむかし 交尾して子を産んだ 〜「消滅世界」村田沙耶香 - ことばを食する
    hiro0706chang
    hiro0706chang 2019/11/29
    くーさん、村田沙耶香『消滅世界』
  • 1