12年前のきょう、日本を揺るがすと言っても過言ではない大規模システムトラブルが発生した。みずほ証券による株誤発注事件である。東京証券取引所(現・日本取引所グループ)の株式売買システムのバグが原因で注文を取り消せずに400億円超の損失が発生。トラブルの責任を取り当時の東証社長が引責辞任する事態に発展した。 東証「消滅」の危機から日本の金融市場と産業界を救ったのは、この10月に81歳で死去し、晩年は様々なメディアで「老害」と指摘された人物だった。東芝元社長で日本郵政の社長などを歴任した故・西室泰三氏である。 2005年12月8日、東証は経営危機に直面していた。発端はみずほ証券が同日朝に出した誤発注だった。この日東証マザーズに新規上場したジェイコム(現ライク)株について、みずほ証券の担当者が「1株を61万円で売り」と注文するところを誤って「1円で61万株を売り」と発注。安い価格で次々と売買が成立