わが国は「疲労大国」といわれています。過労死という言葉を聞くことは日常茶飯事ですし、筆者も所属している文部科学省の疲労研究班が2004年に行った調査では、日本人のなんと60%が常になんらかの疲れを感じていることがわかりました。ほとんど全ての大人が疲れている──21世紀の日本はそんな国になってしまったのです。 にもかかわらず、疲労のメカニズムや正しい対処法は、あまり広く理解されていないことも事実です。 そこで本連載では、最新の研究成果をもとに、「疲れとは、そもそも何なのか」と「どうすれば、疲れを少しでも取り除くことができるか」について、解説していきたいと思います。 日本人は、無理をして生きている 日本人の多くが疲れを感じているのは、なぜでしょうか。 決して昔に比べてひ弱になったからでもなければ、かつての日本人に特殊な能力があったからでもありません。最大の理由は、私たちが直面している「環境の変