中学校の理科の授業で、鉄と硫黄を化合して硫化鉄をつくるなどの実験中に生徒が体調不良を訴える事故が、5月に長野県内で3件相次いだ。 県内の多くの中学校で使用する教科書でこの時期、硫化鉄生成の実験を取り上げているために事故が重なったとみられる。一方、理科教育の専門家からは、若い教員らの実験に対する知識や技量不足を指摘する声も上がっている。 県教育委員会によると、県内の公立中学校で2年生時に使用している東京書籍の教科書「新編 新しい科学 2」に沿って授業を進めると、例年5月頃に鉄と硫黄の化合実験をする学校が多いという。 実験は、アルミニウム 箔 ( はく ) を丸めた筒に鉄粉と硫黄の粉末を混ぜ合わせて詰め、筒をバーナーで加熱して硫化鉄を生成。磁石や薬品を使い、できた硫化鉄が鉄や硫黄と異なる性質を持つことを確認する。 その際、筒に隙間などがあると空気が入り、硫黄と酸素が結びついて毒性のある気体の二