ネット上で横行する「釣り広告」や「ステルスマーケティング」、リアルな世界の「ホストクラブ狂い」や「後妻ビジネス」、一向になくならない「振り込め詐欺」や「アポ電」など、悪質な騙しの手口は後を絶ちません。 『ブラックマーケティング 賢い人でも、脳は簡単にだまされる』(中野信子、鳥山正博 著、KADOKAWA)は、こういった現象がなぜ起きるのか、いいかえれば「なぜ脳がハマッてしまうのか」を、脳科学の知見をベースに解き明かした書籍です。 重要なポイントは、マーケティングの世界において、いわゆる悪徳商法について触れられることの少なさ。 おそらくマーケティングは、それまで学問の対象になりにくかった「商売」の領域について、学問の対象とするために「怪しくないこと」を無意識のうちに選択しているというのです。 現実的には、悪のマーケティング、すなわち「ブラックマーケティング」が厳然と存在しているにもかかわらず