京都での創業から、今年で60年。“強くて、美しくて、使いやすい”本作りを出版社と一緒に追い求めてきた『株式会社藤沢製本』は、2023年11月末をもって、工場の製本ラインをすべて停止しました。 紙の出版物の市場が年々縮小していくなか、6年ほど前に経営危機を迎えた藤沢製本。そこから「従来の受注・生産体制を見直す」「拠点を滋賀に集約する」など、できる限りの業務改革を行ったつもりでしたが、本業で未来が開けるほどの状況には至らず、製本屋でありながら祖業でもあり本業でもある「本作りから撤退する」という結論を出すことになりました。 今までお世話になった方、たくさん相談に乗ってくださったみなさまに、まずは感謝をお伝えします。その上でこのnoteでは、製本事業を退く経緯や感じていた構造的な問題、ここ数年で見つめ直してきた「藤沢製本としてのアイデンティティ」のありか、私たちが今後何を引き継いでいくかなどを、数