鉄道会社の関連事業といえば、これまではバスやタクシー運行といった交通事業のほか、不動産開発やホテル・百貨店事業が主流だった。しかし、最近はこれ以外の多様なジャンルへと進出している。なかでも、関西私鉄で参入が広がっているのは、鉄道会社のイメージとは程遠い「野菜ビジネス」だという。 尼崎市の西端にある、阪神電気鉄道の尼崎センタープール前駅。この高架下には、ある「工場」が稼働している。二重になった扉の向こうには、白い光で照らされた棚に整然と並べられた植物が見えた。 「ここは『阪神野菜栽培所』です。高架下の空間を利用して、グリーンリーフ、フリルレタス、ベビーリーフの3種類の野菜を、水耕栽培で育てています」と、工務部野菜栽培所担当の長田真由美氏が話す。 電鉄会社に「野菜栽培所」? そもそも、なぜ阪神電鉄が野菜栽培なのだろうか。 「新規事業を検討している段階で生まれた発想です。鉄道会社である弊社には、