2012年4月に開業した「渋谷ヒカリエ」のビルからは、工事が続く渋谷駅一帯を見下ろすことができる。ここから眺めていると、時代とともに鉄道各線が五月雨的に乗り入れ、無理に無理を重ねてきた渋谷駅の様子がよくわかる。 東急百貨店ビルの3階の穴に吸い込まれていく黄色い電車は、地下鉄であるはずの東京メトロ銀座線。その下の2階レベルでは、渋谷駅を出発して北から走ってくるJR山手線と、同じ渋谷駅を出発して南から走ってくるJR埼京線(湘南新宿ライン)がすれ違う。 こんなことが起こるのは、埼京線ホームが渋谷駅のはるか西のはずれにあり、山手線ホームとは縦列の位置関係にあるためだ。取材の最中、初老の男性から地下鉄副都心線はどこかと尋ねられた。副都心線のホームは、ダンジョン(地下牢)とも揶揄される渋谷駅の最も地下深い層にある。だが、こちらも副都心線に乗るときは、案内板の「茶色い丸」の副都心線マークを追って辿り着い