日本の四方を取り囲む海は、豊富な漁獲資源や天然資源の探査をはじめ、地震や津波の研究を進める上でも重要な領域だ。しかし、水中での通信は音波に限られ、一度に送れるデータの量は非常に限られてきた。海洋研究開発機構や島津製作所などが開発を進める「水中光無線通信」は、高出力の半導体レーザーを用いた“水中無線LAN”を実現。海洋試験にも成功し、実用化は目の前に迫っている。 7月に静岡県沖の駿河湾で実施された試験では、海洋機構の深海無人探査機「かいこう」を利用。かいこうの機体を上下に分離し、水深約700メートルの「ランチャー部」と同約820メートルの「ビークル部」との間で通信を試みた。 その結果、約120メートルの距離で毎秒20メガビット(20Mbps)の通信に成功。これは音波の約1000倍で、動画も送れる伝送速度だ。さらに受信側のコンピューターを送信側が遠隔操作する「リモートデスクトップ接続」にも成功