海外の拠点を転々として仕事をしていると、拠点を移るたびに新しい環境に慣れるのに骨が折れた。例えば、同じ米国でも、東海岸と西海岸では雰囲気が全然違っていて驚かされた。何事にもオープンで親切に助け合う雰囲気があった西海岸に対し、仕事に臨む姿勢もアグレッシブで、些細なことでも責任の所在を明確にしたがる東海岸では、残念ながら同僚との関係がぎくしゃくしたり、摩擦が生まれることもあった。英国に転勤した時は、物事の判断をはっきり言ってくれない人が多いのに驚いた。 海外で、今まで付き合ったことのない考え方をする人や仕事の進め方、状況に直面した時、これを「カルチャー・ギャップ」として片付けてしまうケースを散見する。僕はこの言葉を使うのにとても抵抗がある。「カルチャーが違うから」と言った瞬間に脳が思考停止に陥り、うまくいかない根本原因を追究したり、機能的に問題解決をしていこうとする意欲が少なからずなえてしまう