![くだらない仕事と成り果てた老朽システム運用 若手にやらせるな](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7f5b874381a058d458fa527e1af624a6692f754c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkei.com%2Fatcl%2Fgen%2F19%2F00322%2F062000137%2Ffb.jpg)
この記事の3つのポイント 24年4月、グリコでシステム障害が起き、経営に甚大な損害 基幹システム刷新のリスクを過大に感じる経営者心理も だが「先送り」は、老朽化によってより困難を深める愚策 江崎グリコで発生した基幹システムのトラブルの余波が、思わぬところに広がっているようだ。基幹システムを刷新した際に甚大なトラブルに見舞われたのを目の当たりにして、同じく基幹システムの刷新を予定している企業の経営者がビビってしまったのだ。今のところ、既にゴーサインを出したプロジェクトを延期するなんて話は聞かないが、老朽化した基幹システムを抱える多くの企業で、システム刷新を先送りする格好の理由になりそうな雲行きだ。 確かにグリコのシステムトラブルのインパクトはすさまじかった。このトラブルは2024年4月3日に、旧来の基幹システムをERP(統合基幹業務システム)ベースのものに切り替えた際に発生した。これにより「
江崎グリコは4月3日に基幹システムの切り替え作業時にトラブルが発生し、物流センターにおける出荷データなどに不具合が生じた。同社製品のほか、江崎グリコが販売を請け負うキリンビバレッジの「トロピカーナ」なども出荷停止を余儀なくされている。障害発生から2カ月以上たってなお、主力商品の出荷を再開できない深刻な事態だ。 ユニ・チャームでも5月上旬に基幹システムを更新した後にトラブルが起こった。大規模な混乱にはならなかったが、公式通販サイトでは6月中旬時点で、紙おむつなどの到着に1週間~10日ほどかかる状況だ。ユニ・チャーム上席執行役員の上田健次ESG本部長はこの遅れについて、「小売店向けの出荷を優先して正常化させたため」と説明する。 3社のトラブルはともに基幹システムの障害を発端としたものだが、今後同様のトラブル事例が増える可能性は高い。日本独特の商習慣など複数の原因が絡み合い、システム刷新を難しく
2024年5月15日正午過ぎ、スマートフォン決済サービス「PayPay」が利用できなくなる障害が発生しました。ちょうどランチ時に障害が起きたこともあり、利用者の間に混乱が広がり、およそ3時間で復旧しました。林芳正官房長官が同日午後に開かれた記者会見でこの件に言及。金融庁がPayPayに対し原因究明と顧客への丁寧な周知を求めたことを明らかにしています(「ランチ直撃したPayPay障害『現金がない』 クレカ陣営が対抗策」)。 PayPayの利用者は23年10月時点で6000万人を突破しています。日本の人口の約2人に1人、日本のスマホユーザーの約3分の2が利用していることになります。PayPayのサービス開始は18年ですから、たった5~6年で「決済を担う社会インフラ」(PayPay)に成長したわけです。PayPayは障害情報とその復旧状況をウェブサイト上で公開しています(「PayPayからのお知
東芝の転落が止まらない。半導体メモリー事業の売却では優先交渉相手を決めたものの、東芝の思惑通りに進むかは不透明だ。協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が反発するのは確実で、6月28日の東芝の定時株主総会も紛糾が予想される。 日経ビジネス6月26日号の特集は「東芝の“遺言” 知識は失敗より学ぶ」。今後の東芝問題の行方や、独自の内部資料により判明した東芝粉飾決算に関わる新事実を掲載している。 米ウエスチングハウス(WH)の減損と、パソコン事業におけるバイセル取引。東芝の経営危機を深刻化させた2つの問題に、デロイトトーマツグループが深く関与していたことが、日経ビジネスの取材で明らかになった。 本誌は今回、社内システムや電子メールの記録など様々な内部資料を入手。東芝の現役社員に加え、複数のデロイトOBから証言を得た。その結果、現在のデロイトトーマツグループCEO(最高経営責任者)である小川陽一郎氏
悩み:昔は薄給に耐えたのに、年を取ったら若手厚遇…納得がいきません 上田さん、初めまして。私は現在59歳サラリーマンで、若く感じていた自分がいつの間にかこの年齢になっていました。今後の生き方や選択肢について相談したいと思っています。 最近、政府主導の企業改革や賃金上昇、人的資本への投資などの対策が進んでいますが、それにもかかわらず何かが足りないと感じます。若いころは薄給でしたが、「おまえもいつかは給料がぐんと上がる」と言われて、サービス残業や休日出勤も我慢してこなしてきました。そこそこの昇給はしましたが、50代以降の私はかつての先輩たちの境遇と比べるとはるかにレベルが低いです。 会社としては若い社員を厚遇し、新卒社員の初任給は毎年のようにどんどん上がります。まだ社会人になりたてで何もできない人に好条件を出す。一方、長く勤めてきた私に対して、心ない役員が「おまえは給料が高い」と言ってきました
米鉄鋼大手USスチールを約2兆円で買収することを決めるなど、攻め手を次々と繰り出す日本製鉄。かつては重厚長大企業ならではの動きの重さが目立ったが、その足取りは明らかに軽くなっている。ここ5年ほどの間で劇的な変貌を遂げた日本製鉄を追いかけた書籍『日本製鉄の転生 巨艦はいかに甦ったか』から抜粋して掲載する。(文中敬称略) 2019年7月、日本製鉄の名古屋製鉄所(愛知県東海市)の一室で、いつものあいさつがひときわ大きく響き渡った。 この日集められたのは、製鉄所長以下、製造部長や課長など幹部社員200人。4月に日本製鉄社長に就任したばかりの橋本英二が、満を持して訪れたのが名古屋製鉄所だった。 名古屋市街と中部国際空港を結ぶ名古屋鉄道常滑線に「新日鉄前」という駅がある。名古屋製鉄所の前身である東海製鉄が鉄鋼一貫の生産体制を確立した1964年に「東海製鉄前」として再開された駅だ。新日本製鉄が誕生した7
米国ではちょうどこの頃、パナマが歴史的な干ばつに見舞われ、水不足のため運河に「通過制限」がかけられているというニュースが流れていた。「何かが起きている」。そう直感した筆者は1月下旬、ニューヨークから現地に飛び、その実態を探ることにした。 飛行機の遅延もあり、現地に到着したのは午後10時ごろ。空港の外に出ると、もわっとした空気が顔にまとわりつき、真冬のニューヨークとの気温差を実感した。スマートフォンで気温を確かめると26度。「暑いですね」。ネットで予約しておいた送迎タクシーの運転手さんと軽い挨拶を交わし、クーラーの効いた車に乗り込んだ。 スペイン語を話せない筆者にとって、英語を話せる運転手さんの存在は貴重だ。しかも首都パナマ市で生まれ育った地元民という。さっそく「パナマ運河が水不足って本当?」と聞くと、海外からの客によく聞かれるのか、すらすらと現状について話してくれた。 想像をはるかに超える
ウクライナは、ロシアが築いた強力な塹壕(ざんごう)による防衛線を突破できず苦しんでいます。ザルジニー総司令官は英誌エコノミストの取材に「このままでは長期戦は必至。そうなれば敗戦が濃厚になる」と答えていました。 苦戦が生み出す内部分裂 3歩しかないというのは厳しいですね。 小泉氏:西側からの支援が遅れ、苦戦が続く中で、ウクライナ内部で結束の乱れが目立つようになってきました。まず、ゼレンスキー大統領とザルジニー総司令官との間に隙間風が吹いています。 加えて、アレストビッチ元大統領府長官顧問がX(旧ツイッター)上でゼレンスキー大統領を激しくののしっています。23年1月に失言のため解任されたのを逆恨みしての行動と見られます。 アレストビッチ氏は、もし大統領選挙を実施するのであれば立候補するとして、公約も発表しました。この中で注目すべきものとして「被占領地の軍事的奪還を求めない」があります。これを条
もちろん、これは平均の話なので、個別に見れば、医療費の自己負担が月額7000円未満に収まらない月もあるだろう。 しかし、高齢になっても、大過なく暮らす月もある。加えて、大過なく暮らせなかった月には、高額療養費制度の恩恵がある(前回「老後の医療費は平均『月額7000円』未満 それでも保険は必要か」参照)。 だから、平均すると、この程度の負担額になるのだろう。 もとより、平均値は、高い数値に引っ張られる傾向がある。国の医療保険制度では、相対的に所得が低い人は、自己負担額の上限も低いから、低所得者の出費は、平均値よりも低くなるに違いない。 以上を踏まえて、老後に増えるはずの病気やケガにどう備えるべきか。 少なくとも、民間の保険に加入する必要はないだろう。 続きを読む 「悲劇」に心揺さぶられると、「お金」で損する 筆者の保険相談のお客様には、老後のことを心配して、民間の「終身医療保険」や「終身がん
日本と多くの共通点を持つフィンランド。官民共創やイノベーションで先を走る同国に学ぶことで、不確実性時代に突入する日本の進むべき道を探る連載の最終回。今回はフィンランドの通信機器大手ノキアの取り組みと、フィンランドが持つ官民の信頼性から日本の今後について考える。(第2回の記事はこちら『フィンランドのイノベーション支える「トラスト社会」と「すきま」』) フィンランド・エスポー市北西部のケラ(Kera)地区に訪問後、我々は同市に本拠地を置く通信機器大手ノキアの本社に向かった。ケラ地区からは歩けるほどの距離だった。 ノキアは2000年から10年にかけて携帯電話端末で世界を席巻した。だがスマートフォン戦略に乗り遅れ、現在は製品や技術、ブランドを一新。BtoB(企業間取引)を中心に、5Gなど新たな通信技術を用いたネットワーク製品とソリューションを主たる事業としている。BtoC(消費者向け)時代とは異な
加速度的な進化を見せる一方で、権利侵害や噓をまん延させるなどの課題も浮かぶ生成AI。AIとの向き合い方が問われる時代に、NTTは「京都哲学研究所」を設立した。相反する物事の両立を図る哲学が、今こそ求められていると訴える。 (聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行) 澤田純[さわだ・じゅん] 氏 1978年京都大学工学部卒業、日本電信電話公社(現NTT)入社。設備業務を担当した後、96年に再編成室でNTT再編に関わる。NTTコミュニケーションズ副社長などを経て2018年に社長。光技術を使った通信基盤「IOWN(アイオン)」構想を公表。22年から会長。京都大学の同窓生である生物学者の福岡伸一氏との出会いをきっかけに、『善の研究』で知られる哲学者、西田幾多郎氏に興味を持ち、哲学の世界への関心を高めていったという。 ChatGPTが2022年11月に世に出て、1年。社会はどう変化したでしょうか。 人工知
生成AI(人工知能)の開発競争が新たな局面に突入した。NTTは性能指標の1つであるパラメーター数を抑え、省電力なミニチュア路線で市場に挑む。一方、ソフトバンクはパラメーター数が大きく賢いが電力消費が大きいAIをつくる方針。ソフトバンクグループ会長兼社長・孫正義氏の「チマチマ小さいAIをつくるな」という姿勢に基づいた形だ。巨大なAIかミニチュアAIか、まだ誰も答えを知らない。市場はどちらを選ぶのか。 「サステナビリティー(持続可能性)を追求し、社会課題を解決する。そういう気概を持って開発した」 NTTの島田明社長は11月1日、自社開発した生成AIのコア技術である大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(つづみ)」の説明会でこのように語った。tsuzumiの特徴は、パラメーター数を抑えて運用コストを下げつつも、品質は高水準を保った点だ。商用開始は2024年3月を予定する。 tsuzumiはN
発達障害(神経発達症)などの精神疾患を脳の特性の違いと受け止め、尊重する考え方が注目され始めた。ニューロダイバーシティーとも呼ばれ、独創性や集中力など発達障害特有の能力に着目し、活用する。イノベーション人材としての期待が高まるが、パフォーマンスの最大化に向けた受け入れ体制は道半ばだ。 ■連載予定 ※内容や順番は予告なく変更する場合があります (1)発達障害の人、IT業界で活躍 オムロンは独創性・集中力に着目(今回) (2)入山章栄氏「脳の特性の違い、イノベーションの源泉に」 (3)産業医に聞く 発達障害を「戦力」にする上司の対応 時折会話の声が聞こえるオフィス。その片隅で、2台のモニターを前に集中して作業する若い男性がいた。耳栓をしているため、男性に周囲の音は入らない。ただ一心不乱に、プログラミング言語で書かれたソースコードが並ぶPC画面を見つめている。 ここは滋賀県草津市のオムロン草津事
インターネット上の意見に政府の圧力がかかるのは70カ国中53カ国、監視干渉行為をしない国は日本を含めてたった4カ国。ネット上の自由に迫る「影」は着々と広がり続けています。その実情とは。長年情報通信政策に携わり、現在は大手プロバイダーのIIJ副社長である谷脇康彦氏の著書『教養としてのインターネット論 世界の最先端を知る「10の論点」』から一部を抜粋して紹介します。 インターネットはどう生まれ、どう使われてきたか 1960年代のインターネット草創期。インターネットの普及は世界の人々の間で情報や知識を共有することを促し、透明で民主的な社会の実現に貢献するという期待が利用者の間に確かに存在していました。これはインターネットの基本精神である「自律・分散・協調」という面に依拠するものでした。 具体的には、インターネットを構成するルーターなどの機器は民間の人たちが「自律」的、つまり自由に設置・運用し、あ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く