「ユニバーサル・アクセス? 最低な選択ですね」 インターネット業界の動向や技術に詳しい東京大学の江崎浩教授は,こう話しました。移動通信網を利用したインターネット接続サービス「モバイル通信」の普及の条件を尋ねた時のことです。 通信や放送,鉄道などは,いわば公共事業。今では民間企業が提供しているとはいえ,かつては国営も多かったわけで,公共性の高い社会インフラです。 誰もが,どこでも同じように同程度の価格でサービスを利用できるようにする。これがユニバーサル・アクセスの考え方の基本です。地域ごとのサービス提供コストに大きな格差はあっても,全国ほぼ同じ価格でサービスを提供できるように料金体系は決まります。単純にコストを積み上げて計算すると本当は地域ごとに値段が違うけれども,最終的には平均的な価格にならしたものに落ち着くわけです。 ただ,サービスを普及させる段階で,この考え方が正しいかどうかは議論が分