「落穂拾い」と言えばミレーの名画がまず思い浮かぶだろう。「種をまく人」や「晩鐘」などともに19世紀中ころの貧しい農民の逞(たくま)しい生き方を描いた名作である。落穂拾いとは、地主の麦畑の収穫を雇われて手伝う零細農民が、手間賃のほかに収穫の約10%だけ残された落穂を拾う権利をいう。元々古い欧州農村社会の互助的風習であり、農村の近代化とともにすたれていったが、ミレーの当時のフランスでは地方によっては条例でその権利がまだ残されていたらしい。 日立にもある「落穂拾い」 私が勤めていた日立製作所にも「落穂拾い」がある。それはミレーの落穂拾いとはちょっと意味が違い、失敗に学ぶことをいう。落穂とは失敗を指し、拾うとは失敗を隠さず向き合うことである。失敗をきちんと反省してその原因を明らかにし、その後に役立てる。このような失敗の伝承は「言うは易く行うは難し」である。人は誰でも、失敗はしたくないし、失敗と認め
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