「ほかの鶏が鳴いても、威嚇してきても、まるで木彫りの鶏のように泰然自若としています。最強の闘鶏になった証です」 そんな故事に由来する言葉である。 「どうです、大瀬良にぴったりの言葉だと思いませんか? これを書いて、広島に行く時にあいつに渡してやろうと思うんです」 九州共立大時代の大瀬良は、入学と同時に投手陣の軸として投げていた。リーグ戦通算38勝6敗、防御率1.07。全国大会にも4回出場して5勝をマーク。日米大学野球選手権大会にも2度選出。2013年のドラフトでは3球団から1位指名を受け、抽選の結果、広島が引き当てた。文字通りの"大器"である。 「ようやく木鶏になってきました。そう思って、こうやって書いているんですよ」 4年間手塩にかけて、すべてを注ぎ込んだかわいい"愛弟子"が、まもなく巣立っていく。喜びと同時に寂しさもあるものだ。 「オオカミを飼いならして、ヒツジにしてはいけない。これ、