9月17日の朝、驚きのあまり動けなくなった。フェイスブック上で、とある友人に宛てられたメッセージを見つけたからだ。内容は「ご友人の皆様へ。中川博之様が、今朝早く台北市内にて交通事故のため、ご逝去されました」から始まる一文だった。 中川さんと私は、その3日後に共通の友人と3人で食事をする約束をしていた。つい一昨日まで、LINEやフェイスブック上でもやりとりをしていたではないか。信じられない気持ちでいっぱいだった。悪い冗談だと思った。 日台の各界から葬儀に参列中川さんは、九州で販売される「西日本新聞」に所属する記者だった。2016年の9月から台北支局長として赴任し、ちょうど1年目が過ぎた頃に事故は起こった。9月17日未明、故郷の熊本県と宮崎県との合同県人会のために集まった帰り、中山北路上の横断歩道ではないところを横切った中川さんは、街路樹が植えられた二つの中央分離帯のうち、一つ目を越えたところ