今年(2012年)のプロ将棋も色々な出来事がありましたが、その中でも矢倉の91手組と呼ばれる形で先手番が勝ち続けたことが印象に残っています。 特にA級順位戦の▲屋敷△渡辺戦で渡辺竜王が持ち時間を大量に残して敗れた将棋は衝撃的でした。 第1図(80手目△3三銀)は今年3月の第61回NHK杯決勝▲羽生△渡辺戦と同じ局面。NHK杯では▲7一馬だったが、ここから▲3四桂△1二玉に▲3三馬と切るのが最新形で以下、△3三同金▲2二金△同飛▲同桂成△同玉▲8二飛△3二歩▲8一飛成(第2図)までが「矢倉91手組」。なんとここまで前例がある。 第2図で渡辺竜王は△4三金と指したが、▲4一竜△4二歩▲3四歩△1四歩▲1一銀以下後手玉は寄ってしまった。▲3四歩~▲1一銀が渡辺の盲点となったようだ。前例のある局面から数手で優劣がはっきりしてしまった。 この形は先手が全勝で渡辺竜王も先手番を持って2回勝っている。将