(『クーリエジャポン』2007/12号 #38) 山形浩生 この連載の開始時に、『エコノミスト』がえらいのはかれらにちゃんとした主張があるからだ、と述べた。多くのメディアは、たとえば朝日新聞や『諸君!』などのように明らかに特定の立場がある場合ですら、客観公正中立というポーズを一応は保とうとする。自分の立場や主張をきちんと述べることはない。 そしてまた、それは当のメディアにとってもよいことなのかもしれない。一部の新聞には「社説」という欄があって、自分たちの立場を一応は表明しようとしている。でもそこに書かれるのは通常はその新聞の中で最もどうしようもない駄文で、まともな理屈もなければろくに勉強した形跡もない、単なる年寄りの変な思いこみが書かれているだけのケースが多い。 だが、この雑誌はちがう。それを如実に見せつけたのが、次の一文だった。 自由の本当のコスト 「やつらはわれわれの自由を憎んでいるん