電波男を二年ほど飼っていた。 そこらに転がっている普通名詞としての「電波男」ではない。最近売れた本を書いた「真祖」の人だ。 最初は、面白いホームページがあるなあ、と思ってちょくちょく彼のサイトに行き、ほどなく「投稿」するようになった。 そのうち、職場で不当な弾圧にあって無職になりそう…と書き込むようになったので、もの書き仕事でもちょと紹介するか、と思ってうちの事務所に呼んだ。本当に困っている、というので、紹介した仕事のギャラをこちらが途中で抜く、というのをしなかった。要するに下請け扱いではなく、完全に客分扱いだった。まあ、文才があったから、そこらで扱うのも当然かな、と思った。 しかしこういう関係というのは、面倒見てやっている方が充分金持っていればいいのだが、こちらの経済状況が思わしくなくなってくると途端に悪化する。実際そうなった。 ある日銀行に金借りに行ったら、「借金するなんてこの会社はも