僕がまだ学生の頃、ポリクリで各科を回っていた頃の話だ。その日、眼科の医療機器がある部屋に入り実習を受けることになった。実習とは言え、眼底の検査などたいしたものではなかった。 その部屋の隅には、まだ新品に近い検査機器がシートをかぶせられて置いてあった。僕たちは特にその機器には興味はなかったが、その眼科のドクターはその機器を指差し、苦りきって言った。 この機械は2000万以上したが全く使い物にならない。有効数字が1桁多いと宣伝するので日本製を買ったが、検査結果が不正確で1桁多い意味がない。すぐに海外製のものを買い直した。たぶん解剖のことがよく分かっていない人が作ったんだろう。 まあ僕の記憶ではそんな感じだった。現在の精神科の特に内因性疾患を母集団とする臨床試験は、母集団が既に間違っているのでたいした意味がないと思う。 あれをエビデンスというには隙がありすぎて、上の有効数字が1桁多いけど全く役に
これは「徒然なるままに浪費癖とギャンブル癖を考える」と部分的に続きになっている。 僕は精神科医として「診療をすること」に30歳の頃よりずっとエネルギーがあると思う。ずっと以前はそんなことを考えることはなかったが、最近はそう思うようになった。 30歳頃はとりわけ忙しい総合病院で働いていたし、深夜に救急外来に呼び出されたり、リエゾンに駆け回ったり、体力的にも精神的にもギリギリであった。特にトラブルになった時はなおさらである。総合病院では色々な患者さんが飛び込みでやってくるため、さまざまなトラブルに巻き込まれやすいのである。(参考) 最悪だった時期は、タクシーに乗っている時、かなりのスピードで追突され鞭打ち状態で仕事をせねばなかなかった数週間。当時、上司の先生(当時の師匠)と放火の鑑定の人も診ていて鑑定書も書き進めないといけなかった。総合病院なので普通の再診の患者さんは多いし、新患は来る、リエゾ
今回のエントリは厳密なものではないことを最初に言っておく。まあ参考になれば、と言った感じだ。(だから読者の皆さんは怒らないでほしい) 浪費癖というのはいろいろなパターンがあるが、例えばブランド品などを収入不相応に買い捲るような人を言うんだろうね。まあ、ブランドだけでなく、とにかく不必要なものまで買うような人も含むのかもしれない。こういう場合、精神障害と言うなら、その結果、経済的に困窮する事が必須なんだと思う。ギャンブル癖もそうだが、こういうのは社会的側面、状況のようなものが大きいような気がするから。(参考) もう15年くらい前、ある中年のおばさんが不眠を主訴に初診した。生活歴を聞いていたら、なんと年間に400万円くらいパチンコに使っていると言うんだな。毎日、開店から並ぶ。そして負けたらだいたい午後3時までには家に帰ってくるらしい。勝つこともあるだろうが、期待値的には日々1万円以上は負けてい
一般名:クロルプロマンジン (=ウインタミン) コントミンは初の抗精神病薬であり、1952年にフランス人のアンリ・ラボリにより発見されている。代表的なフェノチアジン系薬物の1つである。本邦では1955年発売。剤型は12.5、25、50、100mgの錠剤と10%の散剤、顆粒がある。色は白または黄色でつるりとした光沢を持つ球形の錠剤である。いずれも薬価が非常に安い。なんと、いずれの剤型も9.2円一律となっている。一般に450mg以下の用量で処方されるが、いまやコントミン450mgという処方はあまりないのではないかと思われる。非定型抗精神病薬が登場したことと、こういう定型薬物が副作用の関係であまり使われなくなったことによる。なお、アメリカでは常用量としては300~800mg、英国では25~1000mgとなっており、日本よりかなり多い。 コントミンの効能・効果 統合失調症、躁病、神経症における不安
ネコぶろぐ -メンタルヘルスブログの筈だけどしばらく福島第一原発事故に注力- こん○○は、捨てネコです。捨てネコのblogでネコぶろぐです。猫を話題にするblogではありません。(猫飼ってるので、出てくるとは思いますが) 「臨床医からの質問 ③」 の続き 8)バルプロ酸ナトリウムと炭酸リチウムの使い分けのコツについて教えてください。 なんかちょっと、長く付き合いたくないような人はバルプロ酸。もっと別な言い方をすると、何か特別な才能があるような人も、バルプロ酸になる場合がありますね。特異な才能、芸術とか。はい。 9)気分安定化薬について 神田橋先生が以前どこかで話された「友達になりたい人にはリチウム」「精神病に近い感じの人にはCBZ」というのが個人的な臨床の印象にも近く気に入っています。スタビライザーは時間の経過を少しひきのばしてくれて精神療法がしやすくなるという印象を持っていますがいかがで
ネコぶろぐ -メンタルヘルスブログの筈だけどしばらく福島第一原発事故に注力- こん○○は、捨てネコです。捨てネコのblogでネコぶろぐです。猫を話題にするblogではありません。(猫飼ってるので、出てくるとは思いますが) 「臨床医からの質問 ②」 の続き 5)長期間の治療歴(10,20年以上)を持つ双極性障害の患者さんの配偶者(特に妻)慢性の疲弊、本人への無頓着、無関心・・・・・に対面、対応する際の心構え、工夫について。特に「治療者」が本人と配偶者、家族の板ばさみになる状況が容易におこりうるので・・・・・。 慢性の人で、家族がくたびれるのは薬物療法がうまくいってないのだと思います。そして「精神の持ちようなんかで変わるものではなくて、春夏秋冬みたいなもので、波が来たときは台風と同じ」と家族や本人に言うのが定石です。脳の病気。躁状態のときは、だいたい酔っ払いに接するのと同じように接するしかない
ネコぶろぐ -メンタルヘルスブログの筈だけどしばらく福島第一原発事故に注力- こん○○は、捨てネコです。捨てネコのblogでネコぶろぐです。猫を話題にするblogではありません。(猫飼ってるので、出てくるとは思いますが) 「臨床医からの質問 ①」 の続き 4)rapid cyclerへの精神療法、薬物療法、家族への対応などのポイントについて教えてください。 rapid cyclerというものは、ほとんど抗うつ剤によって作られていると思ってください。抗うつ剤も長く使わない方がいいです。持続的に使うものではない、と思っておいてください。 持続的に使うのは気分安定化薬です。その次に抗精神病薬を使います。それまではうつであっても、抗うつ剤を使ったらダメですよ。パキシルがいいといっても(会場笑)、ね。それである程度、イライラはしなくて、情けなくて、元気がないような、波があんまりないようなうつ状態を作
ネコぶろぐ -メンタルヘルスブログの筈だけどしばらく福島第一原発事故に注力- こん○○は、捨てネコです。捨てネコのblogでネコぶろぐです。猫を話題にするblogではありません。(猫飼ってるので、出てくるとは思いますが) ここからは、講演に引き続き行われた「臨床医の質問に答える」コーナーに入ります。 1)躁状態での精神療法について接し方のコツがあればぜひご指導頂きたいと思います。 これはだいたいもう言いましたが、ともかく不自由感が悪いということ。それから躁状態は一見楽しいようでも必ず苦しいですから、「衝動が突き上げてきて、じっとしておれなくて、くたびれるね」とか、「楽じゃないね」とか、「大変ね」とかいうような言葉は入ることがありますから、それを言ってください。 「だから、あなたは病気よ」とか「躁状態がひどいね」とか言ったらだめです。「もう忙しくて大変だね」とか「休む暇がないね」とかいうよう
ネコぶろぐ -メンタルヘルスブログの筈だけどしばらく福島第一原発事故に注力- こん○○は、捨てネコです。捨てネコのblogでネコぶろぐです。猫を話題にするblogではありません。(猫飼ってるので、出てくるとは思いますが) 「気分安定化薬」 の続き ■精神療法 だけど精神療法が大事なんです。 双極性障害を境界例状態に作り上げるためのいちばん手軽な方法は、抗不安薬を多種多様に出すことです、継続的に、ね。 それからもう1つは内省精神療法をやることです。内省精神療法がよくされてるんですよ。やると、患者さんが治療に熱心でしょ。だから「ちょっとしてみようかね」と思ってやると、一生懸命に向こうもついてきますから、どんどんやって、どんどん悪くなります。 それはなぜか。内省精神療法には向かない資質だからです。笠原嘉先生がまだ30代の頃、私が医者になったばかりの頃に、笠原先生たちがこうおっしゃっていました。「
ネコぶろぐ -メンタルヘルスブログの筈だけどしばらく福島第一原発事故に注力- こん○○は、捨てネコです。捨てネコのblogでネコぶろぐです。猫を話題にするblogではありません。(猫飼ってるので、出てくるとは思いますが) 「抗不安薬」 の続き ■気分安定化薬 しかし基本は、扱い壊さない、ちゃんとした治療。それはどういうふうにするかと言うと、まず気分安定化薬を選定します。 気分安定化薬はご存知のように炭酸リチウムがありますが、リチウムがだいたい6割りの人に有効だと思います。面白いのはね、だんだんガチャガチャしてたのが落ち着いてきますと、ようやくリチウムが効くようになる人があるんです。そうすると65%ぐらいですね。だけど初めは、だいたい6割ぐらいです。 あとで質問の中にも出てきますが、リチウムが適応になる人は「一緒に飲みに行きたいな」とか、「今後とも遊び友達として付き合いたいな」とか、「しかし
ネコぶろぐ -メンタルヘルスブログの筈だけどしばらく福島第一原発事故に注力- こん○○は、捨てネコです。捨てネコのblogでネコぶろぐです。猫を話題にするblogではありません。(猫飼ってるので、出てくるとは思いますが) 「双極性障害が統合失調症と誤診される原因」 の続き ■抗不安薬 次は薬物療法。薬物療法でいちばん覚えておいてほしいのは、抗不安薬。抗不安薬はちょっとならいいですよ、2週間とか1ヵ月はいいです。でも1年も2年も使って、だんだん量が増えてきて、種類がたくさんになってくると、必ず人格障害に育て上げられます。 中でもデパス(エチゾラム)です。デパスがいちばんボーダーラインやらリストカットを作る妙薬ですね。あっちゃこっちゃスダレに切ったりしてる人が来たら、「あなたはひょっとしてデパスを飲んでいませんか?」って聞くとすごく当たるの。ほとんど何にも聞かんでもね。 それは、ひとつは精神科
ネコぶろぐ -メンタルヘルスブログの筈だけどしばらく福島第一原発事故に注力- こん○○は、捨てネコです。捨てネコのblogでネコぶろぐです。猫を話題にするblogではありません。(猫飼ってるので、出てくるとは思いますが) 「面接」 の続き ■フラッシュバック 一言で言いますと、双極性障害が統合失調症と誤診された原因の大半は、フラッシュバックです。だから幻聴だと思ったときには、フラッシュバックではないかと考えてみてください。 フラッシュバックは中井久夫先生がおっしゃっているように、抗精神病薬が効かないんです。効かないものだから、「これは難治性の統合失調症だ」というので、どんどんメジャートランキライザーが増やされて、全然効かないんです。そのうちにあんまりメジャーが多いから自発性がなくなって、自閉的になって、能動性がなくなって、一見したところ、立派に慢性の統合失調症のようになります。なりますって
ネコぶろぐ -メンタルヘルスブログの筈だけどしばらく福島第一原発事故に注力- こん○○は、捨てネコです。捨てネコのblogでネコぶろぐです。猫を話題にするblogではありません。(猫飼ってるので、出てくるとは思いますが) 「観察」 の続き ■面接 双極性障害の部類ではないかと思う人がいたら、例えば「わぁ、遠くから来られたのね。たいへんだったでしょう」とかいうようなことを言うの。情緒的なコミュニケーションを投げるわけ。そしたら「いやもう、道に迷いましてね」とかいうような応答が出てきたら、もうマルですね。これでだいたい診断は決まる。まだ、主訴も何も聞かないんですよ。聞かないけど、情緒的な因子で、これは双極性障害の範疇だと思う。それから主訴を聞いたりなんかします。 で、大抵は、うつで病院に来るんだけど、あるいは少し乱暴になったとかいうようなことで家族が連れてくるんだけど、双極性障害の範疇だと思っ
「まだまだ間に合う」「今からでも大丈夫」 10年ぶりに引きこもり脱却してハロワ通いをする男性(30代前半)に応援の声多数 1 名前: ヒナゲシ(アラバマ州):2009/04/15(水) 22:49:45.81 ID:y0JLSqmh ?PLT はてな匿名ダイアリーに10年ぶりに引きこもり生活から脱却した男性の日記が投稿され、応援のコメントが多数寄せられている。この男性は、大学時代から現在(30代前半)に至るまで、引きこもり生活を続けていたようで、引きこもりの間は、将来に対する不安はひたすら考えないようにしてきたそうだ。 しかし、最近父親が心のバランスを崩し、その父親を必死に支える母親の姿を見た影響か、 「自立しなくては」という思いに駆られるようになった。その日以来、床屋に行き、服を買い、 携帯電話を契約するなど、毎日用事を作り外出するようになり、仕事を探すためハローワーク にも行っているそ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く