岸田文雄首相は日本銀行の黒田東彦総裁の後任に、元審議委員で経済学者の植田和男氏を指名した。2人の新たな副総裁を含めたバランスの取れた布陣からは、政策の継続性と市場の安定確保を図りつつ、過度な緩和策からの修正を慎重に進めたい政権の意向がにじむ。 次期総裁に植田氏を起用するとのニュースを受けた直後の金融市場は、予想外の人選による金融政策運営の不透明感の強まりが意識され、円高・債券安・株安で反応したが、間もなく冷静さを取り戻した。植田氏が10日夜、記者団に対して現在の日銀の金融政策は適切として「現状では金融緩和の継続が必要だ」と発言し、早期正常化への警戒感は後退した。 野村ホールディングスの永井浩二会長は11日、都内でのイベントで、「植田氏の第一声を聞くと、金融緩和は継続する印象」と語った。その上で「今のマーケットの副作用などを含めた異次元の超緩和はおそらく少し修正させるだろうが、金融引き締めに