著者は東京都の「女性相談窓口」などで労働相談の仕事に携わっていた労働ジャーナリスト(43年生まれ)。セクシャル・ハラスメントに“加害者男性の実存”という観点から切り込んだ本。 もともとひどいはなしを集めた本だから、それを読んでいやな気分になるのは自業自得ともいえるが、まあ後味は悪いです(もちろん、それは著者のせいではない)。興味深いのは、とりあげられた事例の加害者男性がそろって、男性である著者に対してホモソーシャルな共感に訴える弁明をすること(「男だったらわかるでしょう、女というのは○○なもんですよ」)。それが通じないとわかったときの加害者のうろたえぶりは滑稽でもあり醜悪でもあり情けなくもある。 ところで問題は、タイトルが示唆している認識…セクシャル・ハラスメントが近年増加・悪質化しているという認識の妥当性。「セクシャル・ハラスメント」という概念が“輸入”される以前の実態についてはきちんと