もう今から12年前、月間アフタヌーン1995年6月号に、相撲BEAUTIFULは掲載された。95年春の四季賞を受賞した作品だ。作者は深沢和博、今では全く聞かない名前だ。 相撲ビューティフル…。中野は、12年間この相撲BEAUTIFULのことを一度たりとも忘れたことはなかった。12年といえば結構な時間、一度だけ掲載されたような読みきり漫画のことを忘れるのには充分すぎる時間だ。しかし、忘れられなかった。相撲BEAUTIFULは忘却を許してくれなかった。 今まで中野は、出会った何人もの漫画好きに相撲BEAUTIFULを覚えているか問い続けていた。しかし、その名に反応する人間はほぼ皆無だった。だが、中野の中にある相撲BEAUTIFULの記憶は日々存在を増し、まるで呪いの様に中野に何かを訴えかける。 もう辛抱たまらん。中野は、もう一人相撲BEAUTIFULの呪縛に囚われている町田メガネと共に、