人を表現するのに、天才だの達人だの鬼だの名人だのという 冠になるような言葉があるのだけれど、 米原万里さんのような人は、どう言われるのだろうか。 高等数学の記号を扱うような細密さで言葉をあつかい、 しかも笑顔のような見えない言葉も見逃さない。 米原さんの本を読んでいたら、 すごい人だなぁということはわかるのだけれど、 じかにお会いして、正直言って、ぼくは圧倒された。 こういう人に会うのは、初めてのことだった。 米原さんの冠が、天才なのか達人なのかわからないけれど、 数十年後にも確実に残っている人なんだろうなぁ ということは、つくづく思った。 そんなぼくのショックが、 伝わってくれたら、おもしろいんだけど。 どうだろうか? 最新作は『オリガ・モリソヴナの反語法』(集英社)。 もっと楽しく読めるエッセイもたくさんありますが、 この小説は、すごい。 19 記憶は創造の源泉 □■■□■■□■■□