[編集部からの連載ご案内] 白と黒、家族と仕事、貧と富、心と体……。そんな対立と選択にまみれた世にあって、「何か“と”何か」を並べてみることで開けてくる別の境地がある……かもしれない。九螺ささらさんによる、新たな散文の世界。今回がひとまずの最終回です。 人は基本動物で、動物のままなのが、イコール人間の狂気なのだと思う。 なぜ始まったのかもう誰にも説明不可能で、そしてもうどうしてもやめられない戦争というのは、ある狂気の正体なのだと思う。 燻った、動物の攻撃本能としての怒りエネルギーの発散の正当化。 中島敦の『山月記』やカフカの『変身』が魂にズシンと響くのは、わかってしまうからなのだろう。 虎や巨大な昆虫は、狂気の比喩だ。 知性やセルフコントロールの放棄だ。 李徴は詩人となる夢に破れ、グレゴール・ザムザは繰り返す日常を拒否した。 動物園で動物を見てゾッとすることがあるのは、その動物が自分の前世
![26 狂気と正気|出版社トゥーヴァージンズ(TWO VIRGINS)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/051be016fd4eebfec80abaa4bf09a38d72846c28/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F142340257%2Frectangle_large_type_2_b5db79ca78c8c3bf595bb194b215b19b.jpeg%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)