中東・北アフリカに広がる民衆デモが、世界最大の産油国、サウジアラビアに飛び火する可能性が高まっている。デモが本格化するかどうかを占う材料となるサウジの株価指数は最近下落傾向だ。投資家のほとんどは個人投資家で、国民自身が混乱やパニックが広がると実感しており、株を手放しているためだ。 サウジは同国史上最大となる約3兆円の経済対策を発表し、公務員の給与引き上げを打ち出すなど、デモ波及を食い止めようと躍起だ。ただ、民衆の不満は、絶対君主として軍隊を掌握し、立法も行政権も握る王政の強権・腐敗政治に向けられている。国民の真の狙いが政治改革だけに、経済対策の効果は限定的だ。 石油の恩恵を受けるペルシャ湾岸諸国は、豊かで経済も政権も安定していると一律に見られがちだが、実情はかなり異なる。カタールとアラブ首長国連邦(UAE)、クウェートは人口が少なく、公務員ポストを通じて潤沢な石油収入が国民全体に行き渡る。