4月に米ファイザーとドイツのビオンテックが開発したワクチンの高齢者向けの接種が始まった日本。菅義偉首相が訪米中に実施した米製薬会社ファイザーの最高経営責任者(CEO)との電話協議を踏まえ、9月末までに同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けワクチンの日本への追加供給も決まった。さらに、英アストラゼネカも米モデルナもそれぞれ日本でワクチンの承認申請をしており、輸入ワクチンにより国内供給量は確保されつつある。 問題は、国産ワクチンの実用化がいっこうに見えてこないことだ。ワクチンの実用化のためには、数万人規模の「第3相臨床試験」を行い、プラセボ(偽薬)や対照ワクチンとの比較により有効性を確認することが求められる。ところが、人口当たりの感染者数が少ない日本では第3相臨床試験を実施するのが難しく、そのことが国産ワクチン実用化に向けた大きな壁になっている。 承認制度の弾力的運用へ ただ、