民主主義が重症である。21世紀の政治は、インターネットを通じた草の根グローバル民主主義の甘い夢を見ながら始まった。だが現実は残酷だった。中東民主化運動「アラブの春」は一瞬だけ火花を散らして挫折した。むしろネットが拡散するフェイクニュースや陰謀論、二極化が選挙を侵食し、強烈なポピュリスト政治家が増殖した。 民主主義の敗北に次ぐ敗北。21世紀の21年間が与える第一印象だ。今や民主主義は世界のお荷物なのだろうか。それとも何かの偶然や民主主義とは別の要因の責任を、民主主義に負わせているだけなのだろうか。 ◆◆◆ この問いに答えるデータ分析を筆者と米エール大学生の須藤亜佑美氏で実施した。世論に耳を傾ける民主的な国ほど、21世紀に入ってから経済成長が低迷している(図1参照)。低迷のリーダー日本のほか、欧米や南米の民主国もくすぶっている。逆に非民主陣営は急成長が目覚ましい。中国に限らずアフリカ・中東もだ