『少将滋幹の母』 谷崎潤一郎 ☆☆☆☆★ 『武州公秘話』が面白かったので続けて本書を購入。「王朝もの」である。私は「王朝もの」にヨワい。新潮文庫でも出ているが、新聞連載時の挿絵がそのまま収録されているというのでこっちの中公文庫版にした。「王朝もの」に挿絵がついたら「王朝絵巻」ではないか。私は「王朝絵巻」にヨワい。 メインのプロットはとてもシンプルだ。若くして老人の妻となった美女・北の方を傲慢な権力者・時平が酒の席の策略で強引に奪っていく。この北の方が、タイトルにある少将滋幹の母である。そして後年、滋幹は年老いた母と再会する。それだけだ。うーん、シンプル。ただそこに、かつて北の方の愛人だった色男の平中の話(侍従の君に言い寄るがなかなか相手にされず、北の方に未練が出て会おうとし、子供の滋幹の腕に歌を書いたりし、やがて侍従の君のせいで死ぬ)、時平の子孫の話(菅原道真の祟りでみな短命となり、滅
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