ちょっと前から気になっていたのをやっと見た(ジョエル・セリア監督、1970年、フランス)。これはすばらしい。名作というにはほど遠いが、なんというか私の嗜好にみごとにはまる。原題はMais ne nous delivrez pas du mal(私たちを悪から解き放ちたもうな)。 この映画はニュージーランドでじっさいに起った少女二人による母親殺しに想を得て作られたらしいが、私の見るところではやはりジョルジュ・バタイユの「眼球譚(目玉の話)」を骨子にしていると思われる。映画のアンヌは小説のシモーヌ、ロールはマルセルに相当する。ただしこの映画ではバタイユの小説の語り手、つまり情痴関係にある男は不在だ。ここでは男はもっぱらフラーテーションの対象として、揶揄的に描かれている。二人が牧場で頭の弱い牛飼いを挑発するところなんか、エロ的見地からしても相当なものだ。逆上した牛飼いによるロール強姦(未遂)のシ
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