皮膚などの細胞をiPS細胞(人工多能性幹細胞)にせず、直接、必要な細胞に作り替える「ダイレクト・リプログラミング」の研究が活発化している。心筋や神経、軟骨細胞や、さまざまな細胞のもとになる幹細胞で成功。作製が手軽で、がん化のリスクも減らせる利点が注目される。 米科学アカデミー紀要に4月末、1本の論文が載った。発表者は、米グラッドストーン研究所のシェン・ディン主任研究員らのグループ。iPS細胞を作るのに使われる四つの遺伝子を細胞に入れながらも、iPS細胞にせずに、皮膚の細胞から神経幹細胞を作ったという成果だった。増やしやすい幹細胞を作ったことが画期的だった。 ディン主任研究員らは1月には、同じ手法で皮膚から心筋細胞も作った。四つの遺伝子を入れた後、薬剤を加えて遺伝子の働く時間を短くしてから培養することで、iPS細胞を経由せずに狙った細胞を作った。 このように元の細胞から別の種類の細胞を直接作