ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (15)

  • 世界的なコロナワクチン接種プログラムが全死因死亡に与えた影響 - himaginary’s diary

    というNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン)。原題は「The Impact of the Global COVID-19 Vaccination Campaign on All-Cause Mortality」で、著者はVirat Agrawal(南カリフォルニア大)、Neeraj Sood(同)、Christopher M. Whaley(ブラウン大)。 結論部ではおおよそ以下のことが述べられている。 臨床試験ではコロナワクチンが安全で有効であることが示されたが、現実世界で世界的なコロナワクチン接種プログラムが全死因死亡に与えた効果は良く分かっていない。研究はそのギャップを埋めるため、以下の3つの点を調べた。 世界的なコロナワクチン接種プログラムの最初の8か月で、コロナワクチンは全死因死亡率を防ぐのに有意な効果を発揮した。 推計によれば、141か国での接種プログラムで

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    invictus 2023/11/03
  • 経済学者と疫学者の暗闘 - himaginary’s diary

    こちらで関連ツイートをブクマしたように、疫学者と経済学者のコロナ対策に関する考え方の違いが大きくなっているようである。簡単に言うと、経済学者が政策介入の無い経済活動を重視し、オミクロン株のインフルエンザ並みの軽症化に鑑みてコロナへの特措法の適用廃止を求めているのに対し、疫学者はオミクロン株の重症化率の低さ以外の要因も重視して、政策介入の撤廃に慎重な姿勢を示している*1。 言うなれば、変異株の未知性を警戒する疫学者側が、経済学のいわゆるナイトの不確実性的な要因を考慮して政策手段を採る余地をなるべく残そうとしているのに対し、経済学者側が法学者張りに法律のトリガー条項を厳格に解釈し、ナイトの不確実性的な要因は捨象する姿勢を取っているように見える。やや皮肉な言い方をすれば、経済危機の際にナイトの不確実性的な要因を持ち出して思い切った財政政策手段を採ることを求めた内外の声に抗し、財政規律や経済の自律

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  • クルーグマン「日本はまだオワコンではない」 - himaginary’s diary

    既に日のツイッターで話題になっているが、クルーグマンが安倍元首相の死に寄せて連ツイを投稿している。 OK, one more shock: the assassination of Japan's former Prime Minister Abe. I have zero to say about what might lie behind it and what it means. But I can talk about my meeting with Abe in 2016; he was a complicated and interesting leader, not easy to characterize 1/ As many have noted, he was an apologist for Japan's war crimes — not forgivable —

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    invictus 2022/07/09
  • バングラデシュのマスク研究から何を結論すべきか?・再訪 - himaginary’s diary

    以前、バングラデシュでのマスク着用に関するRCTについて、Ben Rechtによる批判的な検証を取り上げたことがあった。その後、研究者がデータを公開したとのことで、Rechtが公開自体は賞賛しつつも改めてそのデータを批判的に検証している(H/T タイラー・コーエン)。以下はその概要。 公開されたデータは: 対照群(nC):300村の163,861人、陽性者数(iC)=1,106人 処置群(nT):300村の178,322人、陽性者数(iT)=1,086人 この結果には、以下のような問題点がある: 34万人以上を8週間検証して差はわずか20人。 マスクでは盲検は不可能なので、当然ながら盲検ではない。 処置群では、マスク促進以外に、社会的距離などの他の措置に関する教育も行われた。 研究者による検査に同意して研究対象となった人の比率は、処置群が95%、対照群が92%。この差だけで観測された差を拭

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  • 集団免疫論者は正しかったのか? - himaginary’s diary

    タイラー・コーエンが23日に集団免疫についてMRに長文のエントリを上げている。それによると、スウェーデンやロンドンやNYでは抗体保有者の割合がおよそ20%に達した後に入院者数や死者数が急減した半面、第一波に続く感染拡大の波が最初とは別の地域(マドリードの後のバルセロナや、NYの後のアリゾナなど)で起きたことにより、集団免疫論者の正しさが裏付けられたように思われた、という。しかし、マドリードやイスラエルを第二波が襲い、ロンドンも第二波に見舞われつつある現状では、集団免疫論者の主張が数週間前ほど正しく思われなくなった、とコーエンは言う。これに対する集団免疫論者の反論にコーエンは以下の通り懐疑的である。 In response, many of the herd immunity theorists strike back and ask “where are the deaths“? But

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    invictus 2020/09/28
  • 対象を最適化したロックダウンを伴う複数リスクSIRモデル - himaginary’s diary

    既にツイッター上などで話題になっているが、アセモグルら4人のMITの研究者が表題のNBER論文を上げている。原題は「A Multi-Risk SIR Model with Optimally Targeted Lockdown」で、著者はDaron Acemoglu、Victor Chernozhukov、Iván Werning、Michael D. Whinston(いずれもMIT)。タイラー・コーエンは「オールスター経済学者がCovid-19論文を書いた(all-star economists write Covid-19 paper)」と評し、「我々は遂に歩みを先に進めたと改めて言えるかと思う(Again, I would say we are finally making progress)」という感想を漏らしている*1。 コーエンは著者の一人のIván Werningのツイッタ

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    invictus 2020/05/05
    “一例を挙げると、高齢者を隔離しようとした場合、誰が面倒を見るのか? ...我々は、ほかの人の助けを借りつつ、それについてもっと考えたいと思っている。繰り返しになるが、コメントや提案は大いに歓迎する”
  • 日銀の国債引き受けに関する議論の超簡単なまとめ - himaginary’s diary

    日銀の復興国債引き受けの是非が一部で話題になっている。予想されるように、リフレ派が賛成に回り、非リフレ派が反対に回るというのが基的な構図になっている。 議論には主に二つの軸があって、一つは財源として機能するか否か、もう一つはデフレ脱却のリフレ策として機能するか否か(岩康志氏の表現を借りれば、レジーム転換が発生するか否か)、ということになるかと思う。 その軸を元に両者の議論をごく簡単に表形式にまとめると、以下のようになるかと思われる。 財源として機能? 積極派 消極派 レジーム転換できなかった場合 Yes デフレ脱却のきっかけとならなくても、財源として機能したことになる 財政規律弛緩の問題は残る レジーム転換できた場合 No 財源として機能しなくても、デフレ脱却のきっかけになったことになる ・インフレの制御可能性の問題 ・財政規律弛緩の問題 積極派にしてみれば、日銀の国債引き受けでレジー

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  • 生物学を巡る経済学者の誤解 - himaginary’s diary

    昨日紹介したAdam Ozimekのエントリでは、Russ Robertsが1月に書いたブログエントリを議論の出発点にしていた*1。しかし、そのRobertsのエントリは、ScienceBlogsの「Mike the Mad Biologist」によってかなり手厳しく批判されている(H/T Econospeak)。以下ではそれを紹介してみる。 I have often said that economics, to the extent it is a science, is like biology rather than physics. Let me try to make that clearer. By biology, I do not mean the study of the human cell, which we have made a great deal of pr

    生物学を巡る経済学者の誤解 - himaginary’s diary
  • 排出量取引と炭素税に関する基礎的経済学 - himaginary’s diary

    Econospeakでピーター・ドーマン(Peter Dorman)が表題(「The Basic Economics of Carbon Permits versus Carbon Taxes」)のScribdを公開した*1ので、以下に拙訳で紹介する。 多分幾つかの簡単な図が、排出量取引と炭素税を巡る議論を覆っている混乱の霧を貫いてくれるだろう。もしかしたら駄目かもしれないが、とにかく以下の通り試してみる。 最初の図は、炭素排出量(主に化石燃料)に関する非常に単純化された需要曲線だ。ここでは、我々がその形状を正確に知っているものとして描いている。 我々は高い炭素排出量Q1と低い価格P1から出発する。目標は炭素排出量を低い水準Q2まで落とすことだ。方法は2つある。一つは排出量取引を導入し、キャップの合計をQ2とすること。排出量の制約は、需要Dと相俟って、炭素価格をP2まで押し上げる。そのこと

    排出量取引と炭素税に関する基礎的経済学 - himaginary’s diary
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    invictus 2009/12/20
    分かった気がした。
  • ワイツマン「カタストロフの可能性を考慮しない費用便益分析は意味が無い」 - himaginary’s diary

    A.R.N.さんのこの記事を読んで、そういえば例の騒ぎに絡んでクルーグマンが温暖化対策と費用便益分析について何か書いていたな、と思ったら、10/17のブログエントリだった。 Weitzman’s paper was an attempt to shift the focus of a debate that emerged after the big Stern Report on climate change policy. Nick Stern, in making the case for strong climate-change policies, used a zero “discount rate”: he applied the same weight to future generations as to those currently alive. A number o

    ワイツマン「カタストロフの可能性を考慮しない費用便益分析は意味が無い」 - himaginary’s diary
    invictus
    invictus 2009/11/17
    ”その結果は、極端な事態を無視した多くの経済研究より高いが、スターン・レビューの数字と符合している” ”ワイツマンは、スターン報告について、間違った理由により正しい結果を得ているのかも、と評している”
  • コント:ポール君とグレッグ君(2009年第13弾) - himaginary’s diary

    それは特長でなくバグでんがな グレッグ君 ポール君が温暖化対策法案についてブログで書いたことは概ね正しいと思う*1。ただ、公益企業は利益が規制されているので、排出権の初期割り当て分のレントが価格低下という形で消費者に還元される、と書いているのはどうかな。僕に言わせれば、それはワックスマン・マーキー法のバグであって、特長ではない。経済的効率性の観点から言えば、炭素排出権の価格は、高いエネルギー価格という形で消費者にそのまま課せられるべきなんだ。消費者はその高価格に基づきエネルギー消費の最適値を決める一方、所得税や給与税の軽減によって補償を受ける。そしてその減税を賄うのは、排出権のオークションから上がった収益ということになる(当は炭素税の方がいいんだけどね)。 希少資源を効率的に配分するためには、相対価格が真の社会コストを反映する必要がある。来は減税によってなされるべき消費者保護を、規制に

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  • 温暖化対策の本当のコストは? - himaginary’s diary

    一昨日のエントリで取り上げたフェルドシュタインの論説では、ワックスマン・マーキー法による一般家計へのコストを年間1600ドルとしていたが、これはCBO推計値を用いている。 ところが、Econbrowserの7/4エントリでは、同じCBO推計値として、175ドルという数字が紹介されている。フェルドシュタインが用いた値の約1/10である。 何が違うのだろうか? 確認のため、実際にそれぞれの数値が示されたCBOの文書に当たってみよう。 CBOのサイトには様々な資料があるが、中でも面白いのは、CBOの現役の局長(現在はダグラス・エルメンドルフ[Douglas W. Elmendorf])がブログを書いている点である。このブログは、ある意味、CBO発表資料の目次になっている。たとえば、その気候変動カテゴリのエントリを見ることによって、CBOのこのテーマに関する公表過程を追うことができる。 そのうちの

    温暖化対策の本当のコストは? - himaginary’s diary
  • 温暖化対策は経済戦争につながるか? - himaginary’s diary

    昨日は温暖化対策法案(ワックスマン・マーキー法)を巡るフェルドシュタインとクルーグマンの対照的な見方を紹介したが、今日はいわばその第2ラウンドを紹介する(Economist's View経由)。 フェルドシュタインは、「キャップ・アンド・トレードは保護主義を引き起こすか?(Will Cap-and-Trade Incite Protectionism?)」と題されたProject Syndicate論説を書いて、以下のような懸念を表明している。 すべての国が同率のCO2削減を目指したとしても、排出権価格は同じにはならない。というのは、当初のCO2水準や製造業の構成は国ごとに違うので、排出権価格もそれを反映して国ごとに違ってくる。排出権価格は製品価格に反映されるので、結局、キャップ・アンド・トレードは国際競争力に影響することになる。 排出権価格が実際にCO2排出に影響を与えるほどになれば、排

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  • フェルドシュタインの温暖化対策反対論 - himaginary’s diary

    フェルドシュタインが温暖化対策に懐疑的な見方を示している。クルーグマンは当然温暖化対策賛成派であり、両者の意見の対立が鮮明になっている。 5月18日にフェルドシュタインは、ワシントンポストに論説を書き、温暖化はコストに便益が見合わないとした(Economist's View*1、マンキューブログ*2経由)。 フェルドシュタインの反対論は、以下のようにまとめられる。 温暖化対策法案(ワックスマン・マーキー法)は、2020年までにCO2排出量を2005年の83%にすることを求めている。CBOの試算では、CO2の15%の削減のため、家計には年間1600ドルの費用負担が発生する。 現在の米国のCO2排出量のシェアは25%以下に過ぎず、開発途上国の排出量の上昇により、今後さらに減るものと見込まれる。従って、米国の15%の削減は、全世界ベースでは4%未満の削減に過ぎない。米国は、中国とインドが参加する

    フェルドシュタインの温暖化対策反対論 - himaginary’s diary
  • インタゲが最善の策というのは気の触れていない経済学者の総意 - himaginary’s diary

    何だか2chのスレタイ風のタイトルになってしまったが、マイケル・J・ロバーツというノースカロライナ州立大学准教授がそう書いている(Economist's View経由)。 以下はその抄録。 So now Krugman says inflation targeting is the first-best solution to our economic problems. This is consistent with everything he wrote about Japan over a decade ago, and also consistent with a wide majority of non-crazy macro economists across the political spectrum. So why on earth has he not said thi

    インタゲが最善の策というのは気の触れていない経済学者の総意 - himaginary’s diary
    invictus
    invictus 2009/11/17
    "Huh? Krugman--the man who boldly, clearly, and effectively challenges establishment views on EVERYTHING--gets weak knees when it comes to inflation targeting?"
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