「理系離れ」が叫ばれて久しい。これに対して一部の人は学校で理科の時間が少ないからだとか理系の技術者の賃金が少ないからだとか言っているが、そういううわべだけの理由ではなく、もっと直感的な理由があることを多くの人は感じとっていると思う。1970年代にはあったが今はなくなってしまっている、あの雰囲気のことだ。 理系の技術者の賃金がなぜ低いか。それは、技術者はとてもやりがいのある面白い仕事だからである。面白い仕事だから、多少賃金が低くても喜んでやる。極端に言えば、メシを食わせてもらえて会社の金で自分が作りたいものを開発できれば、後は何もいらないのである。そう思える人が減っているのが「理系離れ」である。 理系離れの一つの理由には、すべてを「お金」でしか判断できない風潮にもある。そしてそれに加えて、モノ作りの喜びを理解できないという問題がある。これは今までに何回か述べた、「自分の価値観」の問題である。