ナントカ世代⑮ 『たちぎれ線香売りの少女』 原作/ハンス・クリスチャン・アンデルセン「マッチ売りの少女」,古典落語「立ち切れ線香」 脚本・演出/北島 淳 自動車がまだ高嶺の花だった時代、幅員四四メートルに及ぶ御堂筋を造る都市計画を披瀝した関市長に「船場の真ン中に飛行場でも作るんか?」と大阪の町衆は冷や水を浴びせたと言う。 そんな町をあっち側とこっち側に分かつ大通りで死体が発見された。 正面から一突き、胸にはエビが刺さっていて即死だったらしい。 やおら騒ぎ始めた夜明けの町のこっち側で、男は買い上げたマッチがうまく擦れない。 最近、薬のネット販売を始めたパブのママはどうやら脳をやられているようで、「もう長くはないんですよ」。かれこれ三〇年くらい言い続けているが一体いつ死ぬんだろう? ナントカ世代⑮。冬。 童話と落語を噛み砕きすぎてもう恋の演劇。