「F1000Research導入は、現代の学術出版システムへの問題提起ですか?」筑波大学に取材を申し込んだとき、最初に聞いた質問がこれだった。答えは「YES」。大学が独自の学術出版ゲートウェイを持つことの意味を探ろうとした私たちだが、取材を初めてすぐ、これは人文社会学系の研究者が出版業界に向けて仕掛けたムーブメントであるという事実に気がついた。 英語偏重、インパクトファクター至上主義の出版界に立ち向かう ことの始まりは、学長補佐室長でヘブライ語の研究者である池田潤教授と森本行人URAが2017年に独自に開発したiMD(index for Measuring Diversity)という新しい学術誌評価指標だ。図書館情報学・人文社会情報学も手掛ける池田教授は、インパクトファクターなど論文の被引用数を基にした学術誌の代表的な評価指標では、人文社会学と自然科学を同じ土俵で評価できないことに疑問を持