はじめに 本稿は、クリステラーの著名な論文「近代的諸芸術のシステム:美学史研究」Kristeller, Paul Oskar. "The modern system of the arts: A study in the history of aesthetics part I." Journal of the History of Ideas (1951): 496-527. の読書ノートである。 この論文は「「五つの主要なアート(絵画、彫刻、建築、音楽、詩)(the five major arts)を構成要素とする〈アート〉(Art)」という概念は18世紀以前には存在していなかった」ことを歴史的に示す。 わたしたちがよく耳にし、当たり前の概念として受け入れ、用いるアートという概念が、どのような背景の下で現れたのかということをクリステラーは問う。 クリステラーのこの主張は発表後広く受け入