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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (33)

  • 書評 「人間性の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人間性の進化的起源 作者:ケヴィン・レイランド,豊川航勁草書房Amazon 書はヒトの知性や認知能力や心のあり方の進化的な起源を「文化進化」を深く考察することにより探索するだ.そしてその中では累積的文化進化,ニッチ構築,遺伝子と文化の共進化にからむ正のフィードバック過程がキーコンセプトになる.著者はケヴィン・レイランド.原題は「Darwin’s Unfinished Symphony: How Culture Made the Human Mind」 書全体は第1部「文化の基礎」で模倣や文化にかかる行動や能力がどのように進化しうるのかをまず整理し,第2部「人間らしさの進化」でヒトを特別にしているものは何か,それはどうして(ヒトだけに)進化したのかを扱うという構成になっている. 第1部 文化の基礎 第1章 ダーウィンの未完成交響曲 冒頭で,ダーウィンは土手を覆い尽くす生物たちの多様性を

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  • 書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    広がる! 進化心理学 朝倉書店Amazon 進化心理学は基的にヒトの行動や心理を進化的な視点から理解しようとする試みであり,極めて学際的な営みになる.書はそのような進化心理学の周辺分野の専門家たち(その多くは同時に進化心理学者でもある)による進化心理学が周辺分野に与えてきた影響,あるいはその親和性を解説する一冊になる.編者は小田亮と大坪庸介. 冒頭の「まえがき」は「なぜ書店の『心理学』の棚には『進化心理学』というコーナーがないのか」という面白い掴みから始まっている.基的に新しい分野でまだ認知度がなく,そういう書名のが少ないからだと思われるが,ここでは,進化心理学は他の○○心理学と異なり,○○にあたる内容を研究するのではなく,進化はその視座を表しているからだと説明されている.つまり進化心理学は認知科学,社会心理学,発達心理学のような内容による区分に横串を通すような分野であり,そのよう

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  • 書評 「なぜヒトだけが言語を話せるのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    なぜヒトだけが言葉を話せるのか: コミュニケーションから探る言語の起源と進化 作者:トム・スコット=フィリップス東京大学出版会Amazon 書は認知と文化が専門の認知科学者,心理学者であるトム・スコット=フィリップス*1によるヒトの言語の進化と起源に関する一冊.ヒトの言語の進化的起源については,霊長類などの信号システムとの連続性を前提に,再帰的構造を重視する議論*2が主流だが,書においては,ヒトの言語と霊長類の信号システムとの非連続性を強調し,語用論の重要性を正面から採り上げる独自の議論が説得的に主張されていて,とても興味深い書物になっている.原題は「Speaking Our Minds: Why human communication is different, and how language evolved to make it special」 第1章 コミュニケーションへの2

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  •  「歌うネアンデルタール」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化 作者: スティーヴンミズン,Steven Mithen,熊谷淳子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/06メディア: 単行購入: 2人 クリック: 72回この商品を含むブログ (40件) を見る 「心の先史時代」でヒトの認知の進化について領域的な心のモジュールが認知的な流動性を獲得して現代人類の心を持つようになったと主張した著者の最新著.(この間に「After the Ice」という氷河期以後を扱ったがあるのだがまだ訳されていないのが残念) 書においては言語と人間の認知について複雑な主張を展開しているが,一言で言うと類人猿からネアンデルタールまでは現在の人類の言語のプロトタイプである全体的で感情伝達的な発話様式(これを著者はHmmmmと名付けている)があった.これが彼等が現代人類のような文化を発達させ得なかった要因のひとつ

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  • 書評 「進化政治学と平和」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化政治学と平和 科学と理性に基づいた繁栄 作者:伊藤 隆太芙蓉書房出版Amazon 書は進化政治学者伊藤隆太による3冊目の進化政治になる.伊藤は1冊目の「進化政治学と国際政治理論」では国政政治理論の古典的リアリズムを進化心理学的知見を基礎に進化リアリズム*1として再構築し,(ネオリアリズムの立場から見ると不合理な)戦争開始決定を部族主義,過信,怒りなどの概念を用いて説明してみせた.2冊目の「進化政治学と戦争」においては進化リアリズムの基礎的知見を人間行動モデル*2として提示し,ヒトには戦争することに使われる人間性が備わっているとする「戦争適応化説(個人レベル,集団レベルの抗争を可能にする心理メカニズムを奇襲と会戦に分けて説明するもの)」を提示した.2冊とも科学哲学的に実在論に立っていることを強調している.そして今回の「進化政治学と平和」においてはやはり実在論を強調しながら新しく進

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  • 書評 「社会科学の哲学入門」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    社会科学の哲学入門 作者:吉田敬勁草書房Amazon 書は科学哲学の中で特に社会科学の哲学についての入門書だ.私は社会科学についても哲学についてもあまり詳しくはない.そして最近読んだ進化政治学のにおいては著者が実在論にずいぶんコミットしているものの私が理解している科学哲学の実在論とはややニュアンスが異なるような印象もあってややもやもやしていたので,この際勉強しておこうと手に取った一冊になる.著者は科学哲学者で社会科学の哲学を専門とする吉田敬になる. 序章 社会科学の哲学を学ぶとはどういうことか まず書の目的について,社会科学の哲学という分野がどのようなものであり,どのような議論が行われているかを紹介するものだとしている. そこから序章における概念整理がある. 科学哲学の問題領域には論理学(推論の方法は正しいかなど),認識論(知識とは何かなど),形而上学(扱う対象は実在するのかなど),

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  • 書評 「不平等の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    不平等の進化的起源: 性差と差別の進化ゲーム 作者:ケイリン・オコナー大月書店Amazon 書は,科学哲学者でありかつ進化ゲーム理論家であるケイリン・オコナーによる進化ゲームの均衡解として(差別的偏見がなかったとしても)社会的カテゴリー間の不平等をもたらす慣習や規範が創発しうることを丁寧に論じたである.社会的カテゴリーとしては特にジェンダーが大きく取り上げられているが,人種や宗教などにも当てはまる議論になっている.原題は「The Origins of Unfairness: Social Categories and Cultural Evolution」. 序章で各章の概略と文化進化の簡単な解説(文化進化の存在は書において進化ゲームを用いる基礎的な前提になる)をおいた後に論に入る. 第1部 社会的強調による不平等の進化 第1章 ジェンダー,協調問題,協調ゲーム 最初のジェンダーと

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    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2022/01/05
    “進化ゲームの均衡解として(差別的偏見がなかったとしても)社会的カテゴリー間の不平等をもたらす慣習や規範が創発しうることを丁寧に論じた本で”
  • 書評 「読む・打つ・書く」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    読む・打つ・書く: 読書書評・執筆をめぐる理系研究者の日々 作者:三中 信宏東京大学出版会Amazon 書は三中信宏による理系研究者のための読書論,書評論,そして執筆論のだ.一気呵成に迸るように書かれた文章は迫力十分で,そしてすべては自分の(研究の)ためというポリシーが圧倒的に壮快だ. 第1楽章 読む:読みのアンテナを張る*1 冒頭は「との出会い」から始まる.との出会いは一期一会でこれはと思うは逃してはいけないこと,探書アンテナを張ることの重要性,ランダムな出会いもまたよいこと,多言語蔵書の深みなどが語られている. そこからいかに深くを読むかというテーマになる.読むにはまずを読みきって何が書いてあるかを理解するという段階,そして次になぜこのが書かれなければならなかったかを問いかける段階があるという.そしてを学べばより世界は広がり,得られた知識ネットワークは信頼するにた

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  • 書評 「人間の本質にせまる科学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人間の質にせまる科学: 自然人類学の挑戦 東京大学出版会Amazon 書は若手研究者たちにより執筆された自然人類学の総説・入門書になる.内容的には東京大学の駒場の1,2年生向けのオムニバス講義がもとになっているようだ.自然人類学は「人間とは何か」という問いを自然科学的に探究する営みであり,時系列的にはチンパンジーとの分岐から未来まで,対象のスケールとしてはゲノムレベルから地球生態系までを視野に入れた広大な学問領域になる.書ではそれぞれの専門家から人類進化の軌跡,ゲノム科学,ヒトの生物としての特徴,文化とのかかわりが解説されている. 第1部 人類進化の歩み 第1部は,霊長類の行動と社会,チンパンジーとの分岐から猿人*1まで,ホモ属,ネアンデルタールという4章構成になっていて,人類進化の最新の知見が要領良くまとめられている.各部において内容的に興味深かったところを紹介しておこう. 霊長類

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  • 進化ジェンダー学研究会 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    先日進化ジェンダー学研究会にオンライン参加してきた.あまりこの手の講演会には参加した経験がないが,今回は進化生物学的な知見を取り入れるという試みということで聴講したということになる. 進化生物学による女性間の関係の理解 -持続可能なジェンダーパリティにむけて 開会挨拶・趣旨説明 松晶子 持続可能なジェンダーパリティへ向けて,進化生物学的な女性間の関係性という視点から考えていきたいというのが日の趣旨. ここで日の現状を説明したい. 1990年に国連から指導者層の女性割合を30%以上にという勧告があった.2002年になってようやく政府は2020年までに30%をめざすという方針を立てたが,到達しそうにないとこれを10年先延ばしにして2030年目標と変更したという状況. 指導者層の女性割合を上げるメリットとしては様々な実証研究からの報告がなされていて,意思決定層の多様化による決定の質の向上,

  • 書評 「統計学を哲学する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    統計学を哲学する 作者:大塚 淳発売日: 2020/10/26メディア: 単行(ソフトカバー) 書は応用統計学にも造詣の深い科学哲学者大塚淳による統計学の哲学の入門書になる.序章では書について「データサイエンティストのための哲学入門,かつ哲学者のためのデータサイエンス入門」だとある. これまで読んだ統計学の哲学についてはソーバーの「科学と哲学」がなかなか面白かった.書ではソーバーでは扱っていなかった因果推論や深層学習についても論じられていて,そのあたりも勉強したいと思って手に取った一冊になる. 序章 統計学を哲学する? 序章では書のねらいと構成が書かれている.ねらいとしては,上記の入門書というだけでなく,「統計は確固とした数理理論であり,そこに哲学的思弁が入り込む余地はない」とか「統計は単なるツールであり,深遠な哲学とは無縁だ」とかいう誤解を解きたいということが挙げられている.

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  •  EVOLINGUISTICS 2018「言語とコミュニケーションの進化」参加日誌 その2 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    8月3日 キーノートレクチャー2 東京大学駒場キャンパス 21KOMACEE East 言語進化に関する連続講演会企画「EVOLINGUISTICS 2018」. 8/2の文京学院大学ふじみ野キャンパス(埼玉県ふじみ野市)の講演(脳の形態や道具との関連についてのもの)と東京学芸大(小金井市)の講演(社会的理解と向社会的行動の初期発達に関するもの)は都合がつかなかったが,8/3の駒場のキーノートレクチャーには参加できた.講演者は言語学者側からのキーノート講演者であるセドリック・ブックス.言語学者側のキーノートということで岡ノ谷ではなく藤田耕司からの紹介を受けて登壇.ちょっとしたジョークから話を始めた. ロジカルからバイオロジカルへ(From the Logical to the Biological) セドリック・ブックス(Cedric Boeckx) 今日の外はとても暑い(当日の東京の最高

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  •  「統計思考の世界」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    統計思考の世界 ?曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎 作者: 三中信宏出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2018/05/18メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る 書は三中信宏による「思考の体系学」「系統体系学の世界」と併せて単系統群トリロジーを構成する統計思考にかかる一冊.三中は様々な場所でリサーチャー向けに統計学の講義を担当しており,その際にカリキュラムとして話してきた内容が整理されたいわば「講義録」になる. 後の2冊が春秋社,勁草書房といういかにも文系向けの出版社から,「縦書き物理のみ」という数字アルファベット数式混じりの文章を扱う上で全くユーザーフレンドリーでない形式で出版されたのに対して,書は技術評論社から「横書き電子版同時出版」というスマートでユーザーフレンドリーな形式で出版されておりうれしい限りだ. プロローグ 冒頭ではいきなり,昨今では「

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  •  「Words and Rules」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Words and Rules: The Ingredients Of Language (English Edition) 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Basic Books発売日: 2015/07/14メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るWords And Rules: The Ingredients of Language (SCIENCE MASTERS) (English Edition) 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Weidenfeld & Nicolson発売日: 2014/05/22メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る*1 書はスティーヴン・ピンカーによる1999年に刊行された一般向けのであり,英語に現れる動詞の過去形や名詞の複数形の規則型と不規則型を深く掘り下げて,ヒトの心にある「概念

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  • Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その17 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Language, Cognition, and Human Nature: Selected Articles 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Oxford University Press発売日: 2013/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る ピンカーの概念カテゴリーについての論文も最終部分に入った.ここまで古典的カテゴリーとファミリー類似カテゴリーがどのような機能を持ち,世界にはそれぞれのカテゴリーで処理すべきクラスターが実在することを説明してきた.最後にこの相互作用が解説され,結論が提示される. 古典的カテゴリーとファミリー類似カテゴリーの相互作用 「鳥」や「おばあさん」のような多くの単語の指示対象は.古典的カテゴリーとファミリー類似カテゴリーの両方の特徴を持っている.この2つはどのように相容れているのだろうか. 私たちはヒトは2つ

    Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その17 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2017/06/03
    概念という一つに思える現象の中に二つのシステムが走ってるということなんだな
  • Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その16 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Language, Cognition, and Human Nature: Selected Articles 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Oxford University Press発売日: 2013/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 概念カテゴリーはカテゴリーメンバーについての推論を可能にするという機能を持ち,それは世界がそのようなクラスターを作っているからだという議論.ピンカーは,古典的カテゴリーについては自然科学や数学の法則によって作られた世界,そしてヒトの社会的関係を律するための定式システムがそのような性質を持っているという説明を行った.続いてピンカーはファミリー類似カテゴリーについての説明を行う. ファミリー類似カテゴリー:歴史的に関連した類似クラスター内での推論 私たちはここまでに,英語学習者はファミリー類似カテゴリ

    Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その16 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2017/05/27
    家族的類似クラスがどのように出来上がるか。"ある種の法則によって相対的に一様なクラスができあがる.その後その作用がなくなり,独立の歴史的な原因によりクラスが多様化される.しかし多くの類似性は残っている"
  • Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その14 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Language, Cognition, and Human Nature: Selected Articles 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Oxford University Press発売日: 2013/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る さてピンカーはここまで英語歴史の蘊蓄を語り,現代英語の動詞の過去形は,確かにファミリー類似カテゴリーと古典的カテゴリーの両方がそれぞれのダイナミズムを持ってインタラクションして形成されてきたことを見た.これはヒトの用いている概念についてどのような含意を持つのだろうか.ピンカーは機能から考えようと議論を進める.いかにも進化的視点をとる学者らしいアプローチだ. 概念カテゴリーに関するインプリケーション この英語の過去形についての古典的カテゴリーとファミリー類似カテゴリーについての発見は,(例えば「鳥

    Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その14 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2017/05/17
    「概念カテゴリーは,それがあるオブジェクトの観察された特徴を用いてまだ観測されていない特徴を推論するのに役立つ」
  • Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その12 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Language, Cognition, and Human Nature: Selected Articles 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Oxford University Press発売日: 2013/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る コネクショニズム批判を終えてピンカーはそもそものトピック「ヒトの心のコンセプトの性質」にもどる. 認識論的カテゴリーと存在論的カテゴリー レイは,「たとえ人々がファミリー類似的(あるいは古典的)カテゴリーを使うことを示せたとしても,それは世界がファミリー類似的(あるいは古典的)カテゴリーを含んでいることを意味してはいないと指摘した(Rey 1983). これは興味深い問題を提示する:もしファミリー類似カテゴリーと古典的カテゴリーを扱う上で心理的な区別があるのなら,それは実際に世界に異なるカテゴリー

    Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その12 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2017/04/24
    "認識論的カテゴリーと存在論的カテゴリー"
  • Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その8 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Language, Cognition, and Human Nature: Selected Articles 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Oxford University Press発売日: 2013/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 英語の不規則過去形はファミリー類似カテゴリーだった.では規則過去形はどうなのか.ピンカーはまず規則型には不規則型の特徴である音韻類似性がないことを見た.続いてそれ以外のファミリー類似カテゴリー特性があるかどうかを吟味する. (2)プロトタイプなし,メンバーシップの段階性なし.低頻度や限定的文脈による不確実なケースなし 不規則動詞の過去形とは異なり,規則動詞の過去形は出現頻度,熟知度,慣用度,凍結性,統語的文脈に応じたまとまりのある特徴を示さない.例えばperambulate(ぶらつく)という動詞は

    Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その8 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2017/04/06
    英語の規則動詞は古典的カテゴリー。"ヒトが英語の規則動詞と不規則動詞をカテゴライズする心理過程は全く異なっている"
  • Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その4 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Language, Cognition, and Human Nature: Selected Articles 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Oxford University Press発売日: 2013/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る ピンカーはここまで,カテゴリーには,それに含まれるための必要条件と十分条件が明確な「古典的カテゴリー」とプロトタイプとの類似性により決まり,メンバー内で複数の特徴が部分的に共有されているような「ファミリー類似カテゴリー」があること,ヒトの概念は「ファミリー類似カテゴリー」的だが,それへの反証もあることを説明してきた.ではこの謎はどう解決されるべきなのだろうか. 可能な解決法 この相反するエビデンスの可能な解決方法はいくつかある. ヒトの概念は基的にはファミリー類似カテゴリーによっている.古典的カ

    Language, Cognition, and Human Nature 第7論文 「ヒトの概念の性質」 その4 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2017/03/19
    "レイ(1983)は,「世界にはどのようなカテゴリーがあるか」という形而上学的問題と,「人々が世界を理解するためにどのようなカテゴリーを用いているか」という認識論的な問題を区別することが重要だと主張している"