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ブックマーク / www.chuko.co.jp (10)

  • 見取り図の快楽/斎藤哲也

    木村敏『時間と自己』 伊藤邦武『物語 哲学の歴史 自分と世界を考えるために』 瀧澤弘和『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』 大学時代、高校受験のための進学塾で国語講師のアルバイトをした際に、予想問題の体で、初めて自作の現代文問題を作成した。その出典に使ったのが『時間と自己』だ。デジタル時計とアナログ時計の違いを論じている箇所だったと思う。 精神病者の時間意識を分析した第二部「時間と精神病理」は、とにかく興奮して読んだ。未来を先取りたがる人、取り返しのつかない過去に悩む人、「いま・ここ」がすべての人――、こう書けば、誰もが心当たりがあるだろう。時間とはなんと厄介なものか。あれからおよそ四半世紀が経ったいまも時間論に指が動くのは、同書の読書体験に負うところが大きい。 中公新書の通史には、「物語 ○○の歴史」という定番のシリーズがある。○○には、ドイツアメリカ、北欧、中東など、国

    見取り図の快楽/斎藤哲也
  • 『正義とは何か』/神島裕子インタビュー|web中公新書

    誰もが共通に理解できる「正義」はあるのか。公正な社会は実現可能か。このたび、アメリカ政治哲学者ロールズにはじまる正義論の系譜をわかりやすく解説する『正義とは何か』が刊行されました。書について著者の神島さんにお話しをうかがいました。 ――哲学、とくに正義論について関心を持ったきっかけを教えてください。 神島:知りたいと思うことに取り組んでいたら、哲学という研究領域の端っこに近づいてきた感じです。子どもの頃によく「なんで」を連発してうるさがられたり、(たぶん)するどい突っ込みを入れて「子どものくせに生意気だ」と怒られたりしていました。他方で漫画やアニメが好きで、ストーリー展開に難癖をつけたり、登場人物に感情移入したりして、空想にふけっていました。振り返ってみれば、そうとは知らずに哲学っぽいことをしていたのだと思いますが、学問としての哲学に関心を持つようになったのは、大人になって他の学問を学

    『正義とは何か』/神島裕子インタビュー|web中公新書
  • 『ヴィルヘルム2世』/竹中亨インタビュー

    1914年、第一次世界大戦が勃発します。原因は複合的なものですが、ドイツの軍拡もその鍵になったと言えるでしょう。このたび、ふたつの世界大戦を生きた、最後のドイツ皇帝の評伝『ヴィルヘルム2世』を上梓した竹中亨さんに、執筆の経緯や、当時の国際情勢と現代の類似性などをうかがいました。 ――ヴィルヘルム2世への関心は、いつごろから、どのようなきっかけがあったのでしょうか。 竹中:大学での卒業論文がきっかけです。文学部で西洋史学を専攻したのですが、4年生になって、さて何を卒論のテーマにするかといろいろ探して結局、落ち着いた先が世紀転換期のドイツの建艦政策だったんです。ヴィルヘルム2世は海軍建設の立役者ですから、参考にというんで、彼の伝記などを少しばかり読みました。そのとき、これは世間的な「カイゼル」のイメージでは割り切れない人物、ということが分かって、かなり興味をそそられたんです。 ただ、彼自身は論

    『ヴィルヘルム2世』/竹中亨インタビュー
  • それぞれの〈ぼく〉と3冊/紙屋高雪

    昭宏『核と日人 ヒロシマ・ゴジラ・フクシマ』 岡田一郎『革新自治体 熱狂と挫折に何を学ぶか』 中川剛『町内会 日人の自治感覚』 ネットでは得難い「書籍のアドバンテージ」の一つに、断片的ではなく、「歴史の体系として事物を捉える」という点がある。しかも、ぼくは何かの専門家ではないので「それをハンディな形で手に入れたい」という図々しい要求をする。以下は、そんな都合のいい願いに応えてくれる中公新書の3冊だ。ぼくの中に棲む〈3つのぼく〉の各々に即して紹介しよう。 〈オタクとしてのぼく〉が挙げたいのは『核と日人』。核兵器や原発の戦後日におけるイメージを、論壇だけでなくマンガや映画などポピュラー文化からも把握しようとする。核による惨禍が起きるたびに、その痛みを訴えて共感を広げる方法の意義と限界を指摘するくだりは書の白眉である。 〈サヨクとしてのぼく〉が挙げたいのは『革新自治体』。日は、実

    それぞれの〈ぼく〉と3冊/紙屋高雪
  • 「遠い」人びとの営みが、いまを生きる私に直結する/松村圭一郎

    菅原和孝『ブッシュマンとして生きる 原野で考えることばと身体』 桜井英治『贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ』 藤原辰史『トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』 棚を眺めると、中公新書は大学生のころに購入したものが多い。自分の専門が定まるまでに、いろんな分野を知る手がかりになってきた。比較的最近のもので印象に残っているのは、以下の3冊。 菅原和孝『ブッシュマンとして生きる』。私が専門とする文化人類学の名作だ。驚くほど多くの民族誌/理論書を書いてきた著者の研究のエッセンスが詰まった一冊。人類学の魅力のひとつは、日ではまったく想像できないような社会が世界にはあると知ること。書は、人類学者が読んでも、おもしろすぎて、悔しくなる。ブッシュマン、ずるい! 自分の子どもに「名なし」という名前をつける彼ら。その違いにクラクラしながら読み進めるうちに不思議と彼らの人間らしさに親近感を覚

    「遠い」人びとの営みが、いまを生きる私に直結する/松村圭一郎
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2018/04/16
    "岡山には古代の製鉄遺構が多く、金物師たちが暮らした集落がいまもある。トラクター生産の初期に、その金物師が部品の生産に関わった[...]古代の歴史と現代の私たちをつなぐ糸がはっきりと見えた"
  • 「自分の知らない領域の知」への凄腕案内人/増田聡

    野崎昭弘『逆説論理学』 名和小太郎『サイバースペースの著作権 知的財産は守れるのか』 北岡正三郎『物語 文化 美味い話、味な知識』 母は中学の数学教師で家には数学関連の新書が並んでいた。無味乾燥な数学書には全く読む気をそそられなかったが、『逆説論理学』だけは別格だった。「世界最小の電子計算機」や「無限の部屋を持つホテル」といった反常識的コンセプトとその論証は、屁理屈をこねては叱られていた小学五年生を魅了し、論理の力で堅牢な世界をぐにゃぐにゃと作り変えることの愉悦を教えてくれた。今のふざけた私があるのはこののおかげである。今年新装版で出た同じ著者の『詭弁論理学』も面白いが、こちらの方が個人的には印象深い。 ちょこちょこと著作権の勉強をしていた大学院生の頃に出会った『サイバースペースの著作権』は、説教くさいそれまでの著作権書と一線を画した異彩を放っていた。エンジニア出身の法学者である著者

    「自分の知らない領域の知」への凄腕案内人/増田聡
  • 『ポピュリズムとは何か』/水島治郎インタビュー

    イギリスのEU離脱、トランプ米大統領の誕生、ヨーロッパでの排外主義の広がり……いま最も注目を集める政治潮流となっている「ポピュリズム」。このテーマを正面から扱った中公新書『ポピュリズムとは何か』が発売以来、版を重ねています。著者の水島治郎さんに、書について話を聞きました。 ――あまりにタイムリーな刊行なので、「トランプ現象を見て、急いで書いたのでは?」と思われることも多いようですが、そうではないんですよね。 水島:はい。2012年に刊行した『反転する福祉国家』は、オランダにおける福祉国家の再編と移民排除の問題を扱いました。そこでオランダのポピュリズムについても1章を割いています。 その後、2014年にはヨーロッパ各地でポピュリズム政党が勢力を伸ばしました。そこで、政治の最前線で猛威を振るい始めたポピュリズムについて、ヨーロッパやラテンアメリカなどを貫くかたちで、採りあげたいと考えるように

    『ポピュリズムとは何か』/水島治郎インタビュー
  • 『英単語の世界』/寺澤盾インタビュー

    英単語の世界』を上梓した寺澤盾さん。辞書や単語帳が教えてくれない英単語の魅力と秘密にせまった書について、執筆の背景などをうかがいました。 ――書を執筆した動機を教えてください。 寺澤:主な理由は2つあります。 10年近く前に『英語歴史』(2008年)という中公新書を執筆しました。それは1500年におよぶ英語歴史のなかで、発音・つづり、語彙、文法がどのように変化してきたかを書いたものです。その際、紙幅の都合もあって、単語の意味変化を取り上げることができませんでした。ですが、単語の意味変化は、僕が大学の学部生の時から関心があったテーマであり、前著に取り組む前から、ずっと書きたいと思っていました。これが理由の1つです。 2つ目は、英語学習に関係することです。英語――にかぎらず、ほかの語学学習もそうですけれど――の難しさの1つに、多義語の存在があります。書にも多義語の例としてtrunk

    『英単語の世界』/寺澤盾インタビュー
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2016/12/14
    新著では『英語の歴史』で取り上げられなかった意味変化を扱ったとのこと/"すぐれた校閲者がいることは、中公新書の真の財産"
  • ご挨拶代わり

    10月20日、web中公新書がスタートします。 中公新書について、より多くの情報を読者の方に伝えるべく、さまざまな発信をしていきます。「知の現場から」「私の好きな中公新書3冊」「著者に聞く」などのコーナーでは、より深い情報もお伝えしていきます。 合わせて、教養、知識、ジャーナリズムといったものに、多少なりとも貢献できればとも思っています。「が売れない」といった話ばかりが語られる出版界ですが、新たな活路になると信じています。 時間がある折、少しでも訪れて下さればうれしいです。 弊社発足130周年、2016年の秋

    ご挨拶代わり
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2016/10/24
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  • 教養としての宗教入門 基礎から学べる信仰と文化 -中村圭志 著|新書|中央公論新社

    教養としての宗教入門基礎から学べる信仰と文化 中村圭志 著 宗教とは何か――。信仰、戒律、儀礼に基づく生き方は、私たち日人にはなじみが薄い。しかし、事の前後に手を合わせ、知人と会えばお辞儀する仕草は、外国人の目には宗教的なふるまいに見える。宗教的儀式と文化的慣習の違いは、線引き次第なのである。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から、仏教、ヒンドゥー教、そして儒教、道教、神道まで。世界の八つの宗教をテーマで切り分ける、新しい宗教ガイド。 書誌データ 初版刊行日2014/11/25 判型新書判 ページ数256ページ 定価924円(10%税込) ISBNコードISBN978-4-12-102293-6 書店の在庫を確認 ❑紀伊國屋書店 ❑丸善&ジュンク堂書店 ❑旭屋書店  ❑有隣堂  ❑TSUTAYA  ❑くまざわ書店

    教養としての宗教入門 基礎から学べる信仰と文化 -中村圭志 著|新書|中央公論新社
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