知の拠点【すぐわかアカデミア。】(2023年(令和5)9月配信) 講演82:すぐにわかる学術書の読み方 ~大量の本にどう向き合うか〜 岡澤 康浩(京都大学 人文科学研究所 助教)
ブログで継続的に読書記録を投稿しているが、それを見たツイッターの人から、「バーニングさんはいったいいつ本読んでるんですか?」と聞かれることがたびたびある。これまでに様々な人から何度も寄せられた質問なので、いつかちゃんとまとめようと思っていた。だいぶ長く宿題にしていたので、今回この宿題に向き合いたいと思う。 なお学生時代の友人である幻影くんも同じような質問を受け、ブログに回答を残している。自分の回答はやたら長くなったが彼の返答はコンパクトであるため、読みやすい。そちらもぜひご覧いただきたい。 タイトルに書いたように、「フルタイム労働と読書をいかに両立しているか」を軸に書こうと思う。簡単にプロフィールを書くと、33歳の男性・独身子なしなので、同世代の多くが直面している育児時間はほとんどない(妹が帰省したときに甥っ子の相手をするくらい)。そのため、参考になる部分とならない部分があると思うが、ハウ
広がる! 進化心理学 朝倉書店Amazon 進化心理学は基本的にヒトの行動や心理を進化的な視点から理解しようとする試みであり,極めて学際的な営みになる.本書はそのような進化心理学の周辺分野の専門家たち(その多くは同時に進化心理学者でもある)による進化心理学が周辺分野に与えてきた影響,あるいはその親和性を解説する一冊になる.編者は小田亮と大坪庸介. 冒頭の「まえがき」は「なぜ書店の『心理学』の棚には『進化心理学』というコーナーがないのか」という面白い掴みから始まっている.基本的に新しい分野でまだ認知度がなく,そういう書名の本が少ないからだと思われるが,ここでは,進化心理学は他の○○心理学と異なり,○○にあたる内容を研究するのではなく,進化はその視座を表しているからだと説明されている.つまり進化心理学は認知科学,社会心理学,発達心理学のような内容による区分に横串を通すような分野であり,そのよう
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています 大人になっていくにつれ、本に没入できなくなっていく――多くの人が抱えるそんな悩みに1つの答えを与えてくれるエッセイ漫画「本を読むのが遅い人」が、約12万いいねを集めるほど大きな反響を呼んでいます。作者のさざなみ(@3MshXcteuuT241U)さんに、この漫画を描こうと思った背景や反響への思いを聞きました。 「僕は本を読むのが遅いんだ」 就職したばかりのころ、さざなみさんは上司にそう言われたといいます。学生時代からはすっかり変化した生活の中で、何かに抵抗するかのように読書をしていたさざなみさん。しかし、昔より本の世界に没頭できないという悩みを抱えていました。 そんなある日、上司がさざなみさんの読んでいた本を購入したと話しかけてきます。少しずつしか本を読めないため、時間はかかってしまうものの、読み終えたら報告すると話す上司。それから
このあいだ小熊英二『基礎からわかる論文の書き方』(講談社現代新書、2022年)を読みました。 本書の話をする前に、著者の小熊英二さん(1962~)について。それが本書を語るうえで大事なのです。ご存じの方も再確認ということで。 *** 小熊さんは著名な社会学者で慶応義塾大学教授。東京大学の農学部を卒業後、岩波書店に数年勤務しましたが、東大の社会科学系の大学院に入りなおして博士号を取得。 大学院在学中に、修士論文を書籍化した『単一民族神話の起源』(1995年)が出版され、評判となる。 その後は博士論文にもとづく『〈日本人〉の境界』(1998年)や、『〈民主〉と〈愛国〉』(2002年)、『1968(上・下)』(2009年)などを著す。これらの代表作はいずれも、近現代の日本の社会・思想を扱った学術的な大著です。このほかにも、話題になったいくつもの著作がある。 それらの仕事は高い評価を得ていますが、
この企画のきっかけは、「ビジネス書ってなんか同じようなことばっかり書いてない?」という素朴な疑問。そのことを解明すべく、ヒットしたビジネス書の中から100冊を選んで分析し、教えを抽出するという荒行に挑んだそうです。なによりすごいのはそれらの作業をすべてLIVE配信しながらやったということ。まるでゲーム実況のようにビジネス書を読み、配信は毎回大盛りあがり。その成果が今回書籍となって結実しました。この企画を産み出した本人は一体どのような考えで挑んだのでしょうか。 著者のホリケンさんに早速話をきいてみましょう。 ※このインタビューは本書発売前におこなったものです。 ▼書籍DATA 「ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律」(堀元見著、徳間書店)2022年4月16日発売 ▼著者 堀元見(ほりもとけん)さんプロフィール https://twitter.com/kenhori2 (
読む・打つ・書く: 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々 作者:三中 信宏東京大学出版会Amazon 本書は三中信宏による理系研究者のための読書論,書評論,そして執筆論の本だ.一気呵成に迸るように書かれた文章は迫力十分で,そしてすべては自分の(研究の)ためというポリシーが圧倒的に壮快だ. 第1楽章 読む:本読みのアンテナを張る*1 冒頭は「本との出会い」から始まる.本との出会いは一期一会でこれはと思う本は逃してはいけないこと,探書アンテナを張ることの重要性,ランダムな出会いもまたよいこと,多言語蔵書の深みなどが語られている. そこからいかに深く本を読むかというテーマになる.読むにはまず本を読みきって何が書いてあるかを理解するという段階,そして次になぜこの本が書かれなければならなかったかを問いかける段階があるという.そして本を学べばより世界は広がり,得られた知識ネットワークは信頼するにた
読書会――おそらく私たちが何かを勉強するさいの最も効率のよいやり方のひとつである。そこでは、読んでいる本の内容だけでなく、他のひとが本へどのような仕方で反応するかもまた学ぶことができる。それゆえ読書会では、独りで読んでいるだけでは到達できなかったであろう境地に辿り着きうる、ということだ。 読書会に長年参加しているといわば便利なフレーズも分かってくる。じつに読書会はコミュニケーションの要素も含み、参加者同士のやり取りをスムーズにするための工夫も必要になる。それゆえ〈読書会をうまく続けていくための言い回し〉を紹介しておくことは役立つはずだ。以下では、読書会で使用可能な便利フレーズを10位から1位まで挙げていく――高順位に進むにつれ(私の考えるところの)読書会パワーの強い表現が登場するだろう。 第10位は外国語のテキストを読む場合に用いられる次だ。 「文法的にはどちらも可能なのであとは内容から判
読書という行為に憧れがあるが、苦手意識を持っている。 そんな人はどうしたら読書ができるようになるか。 まずは数をこなすことを目標にしよう。 1年間に100冊読む増田 しばらく前にこの増田を読んだ。 ネットにおける1ヶ月前は「そんなのあったな」と呼ばれるぐらいには昔である。多くの人は忘れているだろうから要点を書いておこう。 一昨年は8冊しか読まなかった増田が去年は100冊読めた 読書習慣をつけるためにいろいろ工夫した 工夫の一つとして年100冊を目標にした 100冊読んで頭は良くならなかったが、読書の習慣はついた 増田の行った工夫は参考にできると思うので、読書量を増やしたいと考えている人は試すといい。少なくとも俺は似たことを実践している。ちょっと一般化してリスト化するとこうだろうか。 ためらわず購入する どこでも読めるようにする 日課と合わせて読む 読書記録をつける 年100冊を目標にする
『独学大全』という本を書きました。 2020年9月29日、ダイヤモンド社から刊行します(電子書籍は10月21日配信予定です)。 タイトル:独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 著 者:読書猿 発 行:ダイヤモンド社 判 型:A5変型判 分 量:788ページ 価 格:2,800円+税 ISBN:9784478108536 発売予定:2020年9月29日(書籍) 2020年10月21日(電子書籍) 独学に必要と思われる、ほぼすべての技術を盛り込むために、自分が過去に書いたものを含めて、古典文献からSNS上での発言にいたるまで幅広く渉猟しました。 こうして集めた先人の知見を55の技法にまとめ、「何故学ぶのか」(動機付けと継続に関する技法)、「何を学ぶのか」(学習資源と資料を探し出し吟味する技法)、「どのように学ぶのか」(読み、記憶し、理解するための技法)の
「在野研究者」とは、大学に属さない、民間の研究者のことだ。 卒業後も退職後も、いつだって学問はできる! 現役で活躍するさまざまな在野研究者たちによる研究方法・生活を紹介する、実践的実例集。 本書は、読者が使える技法を自分用にチューンナップするための材料だ。 【書評・紹介記事】 2020年08月11日 毎日新聞 東京夕刊 読書日記(上田紀行 氏) 2020年08月09日 在野研究者に聞いてみた! 『在野研究ビギナーズ』×「在野に学問あり」(B面の岩波新書)コラボ企画(「新書よりも論文を読め」番外編)→youtube動画(前半・後半・おまけ) 2020年05月02日 朝日新聞「売れてる本」(阿部嘉昭 氏) 2020年03月23日 あたらしい「学び」について考える 紀伊國屋書店員さんのおすすめ 2020年03月08日 信濃毎日新聞(内田麻理香 氏) 2020年03月03日 『綴葉』2020年3月
対談者プロフィール Dain 書評ブログ「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」(スゴ本)管理人。「その本が面白いかどうか、読んでみないと分かりません。しかし、気になる本をぜんぶ読んでいる時間もありません。だから、(私は)私が惹きつけられる人がすすめる本を読みます」 読書猿 「読書猿 Classic: between / beyond readers」管理人。正体不明。博覧強記の読書家。メルマガやブログなどで、ギリシャ哲学から集合論、現代文学からアマチュア科学者教則本、陽の当たらない古典から目も当てられない新刊までを紹介している。人を喰ったようなペンネームだが、「読書家、読書人を名乗る方々に遠く及ばない浅学の身」ゆえのネーミングとのこと。知性と謙虚さを兼ね備えた在野の賢人。著書に『アイデア大全』『問題解決大全』(共にフォレスト出版)。 谷古宇浩司 株式会社はてな 統括編集長/
伊勢田哲治 (2018年11月20日刊行,ミネルヴァ書房[叢書〈知を究める〉・13],東京, x+316+36 pp., 本体価格3,000円, ISBN:9784623084319 → 版元ページ|サポートサイト) 【目次】 凡例 viii 序章 科学哲学の来た道 1第1章 帰納と仮説をめぐる論争 11 1. ジョン・ハーシェル 12 2. ウィリアム・ヒューウェル 28 3. ジョン・スチュアート・ミル 52第2章 「サイエンティスト」の起源 73 1. 「サイエンス」と「サイエンティスト」 73 2. 「サイエンティスト」のその後 88第3章 一九世紀のクリティカルシンキング 99 1. 一九世紀までのクリティカルシンキング 99 2. ウェイトリーとミル 108第4章 実証主義の成立 137 1. 観察可能な対象に科学のスコープを限る思想 138 2. 「実証主義」という言葉の起源
昨年出版された『アイデア大全』『問題解決大全』が、スマッシュヒットを記録しています。『アイデア大全』は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2018」の総合第5位、リベラルアーツ部門第2位にも選ばれました。
図書館を退職して大学教員になって、4か月が終わろうとしている。なんだかあっという間だったが、学生さんの顔を見ていると元気が出てくるもので、授業は上出来とはいえなかったかもしれないが、どうにかここまで来ることができた。 図書館勤めの経験を活かそうと思い、出来るだけ本を紹介しようとしていたら、1年生などから、おすすめの本を教えてほしいというリクエストがあったので、このリストをごく簡単にしたものを授業でも紹介したが、こちらには補足も兼ねて書いておく。あわよくば使いまわしたい。 「大学生」「本」「おすすめ」のキーワードでググってみると、たくさんのキュレーションサイトなどが見つかるが、現役学生が作ったのか、あるいは社会人が作ったのか、人文系のものよりも、ビジネス書や自己啓発系の本が多めなのが気になった。それも良いのだが、もうちょっと大学生のうちに、とくに人文系の人が腰を据えて挑む系のブックリストがあ
ご自身のツイートをご覧になった方も多いと思いますが、高山宏先生の蔵書を譲り受け、少しずつ放出しています。 學魔も終活。連休中に二度ばかり失神。結構な奇病のようです。視力ほぼゼロ。かねて決意のごとく、蔵書三万を当分放出し続けるので、珍書ハンター、人文ファン、學魔眷族ひとしく、古書ほうろうを中心に古書市場の動向を注視せよ。諸君、さらば(と、一度きちんと言っておく)。 ──日々、貴重なり! pic.twitter.com/gZujVDmyHX — 高山宏@学魔 情報蒐集アカウント (@gakumanight67) 2018年5月9日 始まりは、5月2日の開店直後、先生からのお電話でした。お話するのは水族館劇場の2010年公演『NOMAD 恋する虜』以来なので、もうそれだけでびっくりでしたが、その内容たるや! 「じつはほぼ失明状態でねえ。それに電車のなかで突然失神したり。そんなこんなで、もう本は手
英ロンドンで2016年に創設された「Perlego」は、定額の利用料金を毎月支払うことで教科書や文献に自由にアクセスできる“Spotifyの教材版”ともいえるサービス。現役大学生はもちろん、研究者や技術者らにもニーズを見込んでいる。 ・7万冊以上の教科書にアクセスし放題 大学で学ぶうえで意外と経済的負担が大きいのが、履修科目ごとに指定される教材の購入だ。 英国では、学術書や専門書の価格が、1978年以来800%以上も上昇し、この上昇率はインフレ率の3倍に相当するという。 そこで、従来、印刷や物流、小売などにかかっていたコストを節約することにより、より安価に、アクセスしやすいかたちで、これらのコンテンツを提供しようと、「Perlego」が誕生した。 「Perlego」では、科学、医学、教育の分野で強みを持つ学術出版社「ワイリー(Wiley)」や英国の出版社「パルグレイブ・マクミラン(Palg
90分でわかるアニメ・声優業界 テレビ・映画化 落合 真司(著) 四六判 210ページ 並製 定価 1600円+税 ISBN978-4-7872-7404-5 C0074 在庫あり 奥付の初版発行年月 2017年08月 書店発売日 2017年08月11日 登録日 2017年06月16日 紹介世界中が日本のアニメに熱狂するのはなぜか。声優ブームとマルチタレント化の関係、アニソンが音楽特区になった理由、生きる希望と形容されるアニラジとは何か、深夜アニメから劇場版までその未来の行方は? アニメ愛を込めてメディア視点で業界を語り尽くす。 解説いま、アニメが爆発している。あの『進撃の巨人』や『君の名は。』を筆頭に、『ちはやふる』『3月のライオン』『弱虫ペダル』『ラブライブ!』などの人気作、『ドラゴンボール』ほかのロングセラーと、アニメ番組を見ない日はない。日本のアニメは国際的な人気を築き上げている
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