2011/1/247:0 「結婚・仕事を持つこと」の敷居を下げよ〜「孤族の国」を考える(1) 筒井淳也 「社会保障」とは何よりも、人生の様々なリスクに物質的に対処するための社会的仕組みである。しかしそれは、同時に人々の心を困窮から救い出す仕組みでもある。というのは、家族(配偶者や子ども)がいること、安定した仕事があることと、自尊心・精神的な安定を保つことができていることとは、強く結びついているからだ。 家族や仕事はそれ自体深刻なストレスをもたらすこともあるが、多くの人は、それでも家族や仕事が全くない状態の怖さを知っているから、その強いストレスに耐えているのだろう。かんじんなのは、そうした「しがらみ」を失って「自由」になり、しかし結果として孤独な死を迎えることになった人々が抱えていた問題と、ストレスに耐えながらも家族や仕事にしがみついている人々の問題は、基本的に同じであるということを認識する