2018年8月26日16時ちょうど、エメラルド・グリーンの海とさとうきび畑に囲まれた種子島宇宙センターから、黄色味がかった煙が立ち上った。数秒遅れて轟音が鳴り響き、セミの声や波の音をすっかりかき消す。煙はやがて空の雲と同化し、耳が轟音に慣れ始めたころ、すべてが終わり、ふたたび日常が戻ってきた。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこの日、新型の固体ロケット・ブースター「SRB-3」の地上燃焼試験を実施した。SRB-3は、開発中の大型ロケット「H3」のブースターや、改良型の「イプシロン」ロケットの第1段に使われる予定で、今回の試験を経て、さらに設計を煮詰め、あと2回の試験を行い、そして宇宙へ挑む。 SRB-3の燃焼試験の様子 (筆者撮影) まずはじめに、固体ロケットについて簡単に触れておきたい。 ロケットは、燃やすための燃料と、ものが燃えるのに必要な酸素(酸化剤)を合わせた「推進剤」を自らの機