旧日本軍が中国に遺棄したとされる遺棄化学兵器の処理事業で、政府は、砲弾の大部分が埋まっている東北部・吉林(きつりん)省ハルバ嶺(れい)での発掘・処理事業を平成23年度から本格的に実施する方針を固めた。同年度中に「試験廃棄処理施設」2基を砲弾埋設地付近に設置し、手掘りで発掘した砲弾を順次、処理していく。中国側が早期着手を要望するハルバ嶺での砲弾処理に踏み出すことで、昨年9月の沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で悪化した日中関係を前進させる狙いがある。 中国側で事業を担当する外務省の劉毅仁遺棄化学兵器弁公室主任が20日に来日し、処理方針を確認する。 ハルバ嶺事業は、19年に発覚した事業委託先の巨額詐欺事件を受けて中断。政府は、約940億円と見積もられた機械式の発掘回収施設の建設計画を中止するなど見直しを進めていた。 内閣府遺棄化学兵器処理担当室は、23年度予算案にハルバ嶺での事業費計219億円