下請け企業への丸投げや偽装請負の横行,新3K(きつい・厳しい・帰れない)の汚名,個人情報漏洩事件,システム障害,システム構築プロジェクトのトラブルを巡る訴訟―。残念ながら,IT業界には明るい話題よりも暗い話題が目立つ。成長産業である割には閉塞感が強い。記者自身,そう感じることもしばしばだ。 そうはいっても,社会や企業におけるITの利活用は進み,ITサービス産業は,約15兆円規模といわれる巨大なビジネスに成長した。最近は“金融特需”の恩恵もあり,ITベンダー各社の業績はまずまず。あちこちで「案件があまりに多く,エンジニアが不足している」との声もよく聞く。 この好況を良しと考えて,何も手を打たなくていいものだろうか。そうではないだろう。「ITサービス業界は,まだ基幹産業としての体をなしていない。魅力ある産業にするために改革が必要だ」。JISA(情報サービス産業協会)の棚橋康郎会長はそう明言して