「原爆だけじゃない。母の弟や父方の親族にも特攻隊として20歳前後で死んでいった人がいる。そんな時代を知らない、若い人たちに読んでほしい」と話す西村利信さん。奥は手記公表のきっかけを作った長男の妻、桂子さん=千葉県船橋市で、岡本同世撮影 広島に原爆が投下された4年後の1949年につづられた被爆手記が見つかった。原爆による悲惨な被害状況が広がらないよう、連合国軍総司令部(GHQ)が目を光らせていた占領期に記された極めて貴重な資料。猛火に包まれる広島城やおびただしい数の遺体など被爆直後の広島市中心部の様子が克明に記録されており、インターネットで現在公開されている。 筆者は旧制広島二中2年当時に被爆した西村利信さん(87)=千葉県船橋市。広島での体験を記憶を元に執筆し、同県立千葉高校の文学クラブが発行した雑誌「道程」に、2回に分けて掲載された。